司馬さんの原作はすっごくすっごく大好きだし何度も読んだけど、なぜか舞台に最初からあまり原作の感動は求めていなかったのが良かったのか予備知識を最初から入れていたのが良かったのか結構楽しんで見れました。私が今まで見たザ・新歌舞伎座な芝居やザ・商業演劇な芝居に比べれば頑張っていたほうかなあと。ネックは長さかな〜〜。休憩時間が約1時間もあるからねえ。でも3時間の上演時間があっても原作のエピソードの3分の1ぐらいしか消化していないわけで、原作・燃えよ剣のシバリは別に要らなかったんじゃ?とも思う。ちょっとエピに一癖ある新選組土方座長ショー、と思ってみればかなり良い出来なのではないかと。まあ、だからってそういう芝居が好きかと言われると首をひねるところもありますが(笑)
下手な書き割りとかは使わず立体的なセットで盆やセリをこれでもか!と使いまくってるところはさすがだなあと思いました。一番感動したのが油小路のセット!奥に駆け込んでいった隊士が盆が回ると共にゆっくりと現れるところなんか芝居なのにすごく上手いカメラワークを見ているようで面白かった。あれ、盆の中にセリがあるからああいう効果が出せるんだよね?提灯の明かりで上手く奥行きを出してるのもよかった。音楽や照明も個人的には及第点。
非常に笑いを多く含んだ演出で、笑いに甘い私としては結構それがありがたいと思うところもあったけど(4時間くすりともできないなんて、辛すぎて死んでしまう)、でも沖田のシーンはあそこまでやらなくていいかなあという気はしました。っていうかやっぱり、ファンの期待も大きいわけだしさ。山南さんが出てくるのはいいけど、しみじみ語って最後に「それはどうでしょう」「私はあなたを迎えに来たんです」だったら結構良いシーンになったのかもと思わないではない。というか、なんで近藤が死んだと教えちゃったのかなあ。私は沖田には知らずに逝かせてあげたかったな、と些細なことを思ったり。
ラストもベタだなあとおもいつつ、幕が振り落としだったのでそれだけで許します(←安い)。振り落としが三度の飯より好きな私だ。というか原作でも函館で土方が、部屋の中で死んだ筈の沖田や近藤がこっちを見て笑ってる、という幻影を見るシーンがあって、それが結構好きだったというのもあるのかもな。まあ単にラスト全員出したいってだけの演出なんだろうけど。
上川さんの土方は予想通りの、いや予想以上の格好良さか。座長としての牽引力は充分に見せてもらったという感じ。三幕の洋装での登場シーンで客席にどよめきが起こったのにはちょっと笑いましたが、私の隣に座っていたおばさまが感に堪えたように「かっこいい・・・!」と呟いていてああ、こういうのもいいもんだなあとも思いました。近藤役の風間さんとどうにも幼なじみに見えない点はご愛敬か。風間さんは愛すべき近藤勇という役を楽しく演じてらっしゃるなあと。流山での二人はよかったよ!あそこのシーンだけ肚をきめている近藤、動揺を隠せない土方という構図になってて、風間さんの貫禄も堪能できたし。
あと印象的なのは山南さんの切腹シーンかな。泣かせるエピソードだよなあ、ほんとに・・・。マイラブ京さんは藤堂平助だったわけですけど、可愛かったわねー(愛)。土方が「あいつは若いから」と言ったとき「(京さんは)あなたより年上だけどな!」と心の中でツッこんでいた私ですがあれで40!とは到底思えない可愛さ。油小路でわざわざ土方の腕に抱かれて死ぬとは思ってなかったので思わず照れた。馬鹿だ。ってか土方と平助ってそんな仲よかった?山内さんの左之助と哲さんの源三郎さんのコンビもかわいくて好印象。皆さんそれぞれ後ろの方でもこまかーい芝居しててそっちの方が気になったり(笑)。富田さんのお雪はひょっとしたら一番原作に忠実?な役作りかな。きりっとした物言いがよかったです。原作にない(と思う)「私はあなたが死んでも死にませんよ」のセリフは大好きでした。