「I LOVE YOU〜愛の果ては?」

  • シアタードラマシティ 10列40番
  • 演出 山田和也

4人の出演者でさまざまな「愛」のシーンを描き出すミュージカルコメディ。1幕目は恋から結婚まで、そして二幕目は結婚から葬式までの、まさに「愛の揺りかごから墓場まで」。

いやもう、笑った笑った。笑った上に「ううっ!」と胸にぐさぐさきたりもして苦笑いに冷や汗。いやしかし楽しかったです。しかもね、私最後はちょっとほろりときてしまったりしたんですけど!開演前のアナウンスで「このお芝居はコメディなのでシリアスなストーリー、泣けるドラマをお求めの方はお門違いです」っていうのがあったんですが、それの英語版にはさらに「泣ける芝居、ヘリコプターシーンなどを見たい方は帝国劇場へ」ってあって爆笑だったんですけど(戸井さんがサイゴン出演者だからだと思われます)、いやサイゴンより私泣いたかもしれないよ。ただマイクの音量のせいなのか、演奏のお二人との音のバランスなのか、ちょっと音が大きすぎて歌詞がうまく聞き取れないところが多かったのは残念な点。

男と女の「そ、そこを突かれると痛い!」な部分をうまく笑いにまぶして作ってるなあと。歌詞もうまいし、シュチュエーションの切り取り方も絶品。レストランで相手の会話に退屈して、相槌のたびに「全部うそ」と心の声が入るのも「わかりすぎる!」だし、それに対する男性陣の虚勢張っても一番でなきゃ、だって僕は男だもん!にもうわーキツイもんあるなあと思ったり。二幕目最初のブライズメイドの歌、個人的に一番好きなんですが、好きでもありつつ身に覚えありすぎて七転八倒。私だってね、そりゃ憧れますから、ウェディングドレスとかね、そういうものに(笑)。友人の結婚式に出た後のあのなんとも虚脱感、でもわたしはいいのこれで!と言いつつなんなの胸に去来するこの寂しさは!っていうね、そういうのを非常に突かれてしまいました。あと、てっきり婚約を報告しに来たと思ったら実は別れ話でした、っていうのを聞いた両親の歌はもう、あれ、みんな聞いてのた打ち回ったほうがいいよ(笑)ああ〜〜〜おかしい〜〜〜〜でも笑い事じゃない〜〜〜〜みたいな。二幕目で、夫に去られた女性が初めてお見合いビデオを作るあのシーン、最初めちゃめちゃ笑ってて、堀内さんの手品に拍手までして大うけだったのに、最後の「もう一回取り直しますか」「いいの、言いたかったことは全部言ったから」でいきなりぐっと来てしまった私。そのままラストの二人に入るので、余計泣きモードになってしまったのかも。

4人の出演者はそれぞれみなさんお見事!!際どいシーンもさりげに品よくコミカルに、歌も聞かせるし笑わせるし。中でも堀内敬子さんのコメディエンヌぶりは素晴らしかったです!かわいらしく、時にちょっとおばかさん、時にちょっとセクシー。背中越しの演技とビデオカメラで私を泣かせたあの手品は忘れられそうにないです。月並みだけど、見終わった後に「愛」ってものをちょっと振り返ってみたくなる、上質なお芝居でした。