「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」

1年前絶賛を博した三上ヘドウィグ、早くも再臨。それだけ「彼女」との再会を望んだひとが多かったということなのでしょう。衣装やメイクが様変わりして、なんというかゴージャアアアアアス!という感じになっており。ゴージャスと言ってもキラキラ派手派手の、大阪のおねーちゃんが履く大阪でしか売ってないピンヒールのようなある種行き過ぎたゴージャスさで登場したときちょいと驚きました(笑)

基本的に昨年の日本版初演と大きく変わるところはないものの、個人的に見た感じの印象は結構違うものがあって新鮮でした。去年はなんというか、もっと「ショウ」に近いものだったような気がしていて、だから見終わった後ああ、この曲で踊りたい!もっと歌が聴きたい!という感情が実はすごくあったんだけど、今回はこのあとアンコールで何か歌う、というのがちょっとしっくりこないよなあと思うほど、最後のMIDNIGHT RADIOで完璧に物語が閉じた、という感じがしたからなんです。つまり今年の方がより「ステージ」として完成されていたんだなあと。
去年はどこに着地するかわからないはらはらさがあったけど、今回は着地する場所が三上さんにはきちんと見えている、という感じ。
去年はすこしたどたどしい部分もあった客とのMC風コミニュケーションや、ステージでの語り、バンドとのやりとりも今回はまったく手慣れたもので、そのどぎつくも可愛らしい仕草や言葉がたまりません。ほんとカーテンコールで出てくるまで「三上博史」ってひとの存在をちょっと忘れるぐらい、ヘドとしての存在感はすごいものがあります。
ここからちょいと脱線。
初演時に「ヘドウィグを日本でやるなら吉井和哉にやってほしい」というような声がちらほらとあったのは、やっぱりマリーさんの姿やJAGUAR HARD PAINでのコンセプチュアルなロックショウを知っているひとからなんだろうと思うけど、私は吉井にヘドをやって欲しいとは思わないんですが、でも吉井のやっていたことと、ここで歌われていることは同じ魂を持っているよなあとは強く思います。
脱線終了。
Musical batonでの「5曲」にヘドの「Wig in a BOX」を入れたぐらい、私はこの曲が好きで好きでたまらんのですけど、なんつーかこの「目が覚めて、自分に戻るまでは」という切なさと、「もう二度と振り返らない」という歯軋りのような思いにもーカンタンに泣いてしまいます。あと今回はMIDNIGHT RADIOがキたなあ。切なくて優しい。たまらん。