「なるべく派手な服を着る」 MONO

相変わらず見事なタイトルセンス。もう勝手にタイトル大賞差し上げます。昔から言ってるけど演劇界で以前本の雑誌がやっていたみたいな、中身関係なく「タイトルだけで」賞を決めるタイトル大賞やったら毎年清水邦夫さんと土田英生さんの一騎打ちになるんじゃないだろうか。あ、あと平田オリザさんとか。

このタイトルの意味は当日チラシの裏には書かれているんだけど(土田さんはいつもそうですね)、劇中には最後までその説明は出てこない。彼がなぜいつも「なるべく派手な服を着て」いるのか。

似てない四つ子、忘れられがちな五男、の構図があまりに強調されすぎていて(そんなことリアルでありえるかしら、みたいな)寓話的な感じすら最初はしてしまったんだけど、それもちゃんと落としどころが用意されていたのはさすが。その寓話的なおかしみが最初から効いていたせいか、それとも私が見た回がとくべつそうだったのか、客受けが異常に良く、MONOと言えばクスリとしたおかしみ、みたいな笑いの方が多かった気がするけど、わりとどっかんどっかんウケてましたね。

客演陣が入って(13年ぶりだそうです)、MONOメンバーのいない場面というのもあったりして、それはそれで新鮮でした。次男の奥さんの「愚かね、あなたたちは」の台詞とか、すっげよかったです。

兄弟といえども一種の集団で、その集団のなかの軋み、みたいなものを掬い取るのが土田さんは昔からうまいけれど、今回も長男と次男のやりとりでそのうまさを存分に発揮していたなあと。水沼さんも奥村さんもああいうの、ほんとうまい(笑)

五男が最後に名前を呼ばれるところはわかっていてもじーんとしてしまいました。

次回公演はまた来年とのこと。楽しみです!