「アントマン&ワスプ:クアントマニア」


MCUフェーズ5、ここより開幕。アントマンシリーズ3作目で監督は引き続きペイトン・リード。この後公開されるGotGもそうだけど、3部作すべて監督が同じって形になったね、アントマンも(1作目は途中交代ではあったけど)。

サノスのスナップ後の世界、アントマン=スコット・ラングはスーパーヒーローとして認知され(半分くらい蜘蛛男と思われてる節あり)、パートナーのホープやピム夫妻、娘であるキャシーとも円満な関係を築いていて、本まで出版しちゃう(朗読会までやっちゃう)人気者ぶり。気がかりは最近社会活動にのめり込みがちな娘のことくらい。ある日、ピム博士とホープ、キャシーが量子世界とコンタクトする実験をしていることに気がつき…というあらすじ。

全編量子世界が舞台になり、かつその量子世界はいわゆる「なんでもあり」な舞台でもあるので、どこか別の星の別の世界で展開されるスターウォーズ的なアントマン、という感覚があったな。別世界として楽しめるという面ではポジティブだし、とはいえ頭とケツしか現実世界とのリンクがないので独立性が高すぎるよな、という感じもあるし、難しい。あとスパイダーマンでもそうだったけど、ある人の「やらかし」で状況が悪い方に転がる、みたいな物語のきっかけはもうちょっといいかな!ってところもあった。フェーズ5のMCUマルチバースが主軸になってくるけど、マルチバース概念入門編、みたいな趣もちょっと感じたかな。あのスコットが一瞬一瞬で無数に枝分かれしていくところは量子世界っていう設定が活きたなって感じがあった。

途中でこれアントマンじゃなくてもよくね?と思ったけど、最終盤に「やっぱアントマンだ~~!!」という展開が待っていたのは嬉しかったし、正直もうマイケル・ダグラスしか!勝たん!!!と快哉をあげそうになった私だよ。あの場面のピム博士どしゃめしゃにキマりにキマってた!!!今作はジャネットの無尽蔵のタフネスぶりが示されて、あのピム博士がベタぼれするはずやん(「君じゃなかった」クぅ~!)と思ったし、ジャネットのあのある種の冷徹さ、これ敵に回したらいちばん厄介な人なのでは…と震撼しましたね。

MCU世界のヒーローたちはどこか不安定な人が多くて、その「揺らぎ」が魅力になるけど、スコットはそういう揺らぎがないよね。彼は一貫して自分の人生で大事なものをわかってる。そういうひとが「小さいもの」と一発逆転をくらわすのは何回見ても美味しくいただけるやつだし、キャシーはそういうパパのいちばん「いいところ」をちゃんと知っていると思うな。ダレンとの再会、思わぬ形過ぎたけど、クソ野郎はいつでもやめられるっていいセリフだなと思った。

ヴィランがドラマの「LOKI」で登場したカーンなんだけど、LOKIを見てなきゃダメかっていうとそうでもないかな。むしろ見てなくてこっちで初対面の方がいいかもだ。LOKI、個人的にむちゃくちゃ好きなところとそうでもないところが共存してて、かつむちゃくちゃ好きなところがフォーカスされずにシーズン1が終わったので、なんというか、評価保留って感じなんですよね私の中で。ポストクレジットのたくさんのカーン、今にも「やつは四天王の中では最弱…」とかミームかましてきそうな雰囲気ありすぎて笑いました。

MCU、次作は本当に紆余曲折あったGotG、こちらもおそらく3作目でフィナーレと思われます。いやもう正直さ、MCU世界肥大しすぎて、私もドラマのミズマーベルとシーハルクまだ取りこぼしたままだし、「どこまで行くん?」みたいな気持ちもないではないけど、でも少々惰性でも、つーか惰性だからこそ「映画館に足を運ぶ」習慣として根付いてるなって気がします。少なくとも私はMCUがなかったらこんな頻繁に映画館に足を運ぶ人になってないと思うんですよね(2014年にCAWSを映画館で見る→今年は映画いっぱい見て今年のベスト映画にCAWSに投票したい!という流れ)。そういえばスコット、劇中でもまたもキャップリスペクト発言あったね。えらいぞ!