「ねじまき鳥クロニクル」

  • シアター・ドラマシティ 23列32番
  • 演出・振付・美術 インバル・ピント 脚本・演出 アミール・クリガー

初演は拝見していませんが、評判がなかなかよかったと記憶しており、再演の機会に足を運んでおこうかなと。原作は読んでおりません!

いやーなんか不思議な体験だったな。原作は読んでいないものの、わたしは村上春樹氏の著作がぜんぜんぴんとこないタイプの人間なので(ノンフィクションは除く)、おおお…私の苦手な村上作品の手触りがまんまそこにある…ということはものすごく舞台化に成功しているということなのでは!?と感心するような、しかし「苦手な作品を読んでいる」感覚から抜けきれず居心地が悪いような、そういう状態がずっと続いてたなー。

舞台美術が実に素晴らしくて、照明ひとつ、配置ひとつでまったく違うものに見えてくるのがよかった。「壁」を沢山配する装置だけど、その壁を実に効果的に見せてくれていたなと。振付を含む演出も冴えており、あーこの一瞬だけ切り取ってもめちゃくちゃインパクトあるな!という瞬間がたくさんあった。物語の展開はアレだけど、ダンスで見せていくシーンは逆にめちゃくちゃ集中して観られた気がします。

キャストの中ではなんといっても吹越さんの語りに魅せられたな~。語っている内容の凄惨さを際立たせるあのトーン、滑舌の良さ、そして体幹の強さ!門脇麦さんの「境界線」にいるような少女もハマっていたなと。ノボル役が首藤さんだってこと、帰り際にキャスト表見て気がつきました。道理で…道理であのダンス!しかしカーテンコールのとき足を痛めているように見えたので心配だぞ!?何事もなければいいんですが!