「十二月大歌舞伎 第三部」

「猩々」。松緑さんと勘九郎さんでしかも舞踊というなかなかない顔合わせ!ありがとうございます。おふたりとももちろん名手でらっしゃるが、育ってきた環境が違うから好き嫌い…じゃなくて踊りのタイプが違うのは否めないっていう感じで、異種格闘技のような新鮮味、面白さがあった。特にふだん中村屋の面々とやっているときは線が太めな芝居をする勘九郎さんが、松緑さんの前ではどっちかというと繊細さを引き受ける佇まいになっているのがファンとしてはたまらなかったですね。良いコンビ。松緑さんまたぜひご一緒してください。あと毎度思うけど勘九郎さんの体幹まじで鬼。

天守物語」。姫路城公演から7か月のスパンで再演!しかも今回は玉三郎さまが亀姫でおつきあいされるという…マジかよ…。
姫路で拝見したとき、玉三郎さんの教えを丁寧になぞってるなという感がありましたが(特に出の場面とか)、今回はより「七之助さんの富姫」が形作られつつあるなという印象を受けました。亀姫で玉三郎さんが横にいらっしゃるというのも大きいかも。でもって、玉さま亀姫七之助さん富姫というコンビ、硬質な美を感じさせる七之助さんに柔らかさのある玉三郎さんであの前半のいちゃこらぶりをやられると、まーじで目の正月じゃん…という感じにしかならないよね。でもってこのふたりが首をしげしげと眺めて面白がるところの耽美さが際立ちまくってたわ。

そういえば演出としてはもちろん、照明としても玉三郎さんのお名前がクレジットされていて、確かにこの演目の照明のこだわりぶりすごいもんな…と思いました。むちゃくちゃ闇を際立たせる明かりになってますよねえ。

虎ちゃんの図書之助、より一層涼やかな若者ぶりが際立ってきた印象。勘九郎さんは婆になったり爺になったり忙しいな!