「新選組!」におけるTSBメンバーについての一考察

新選組!」も残りあと11話ぐらいでしょうか。ここにきてどんどんつらい話になってきました。でも「ある隊士の切腹」は非常に完成度の高い回でしたよねえ。

さて、新選組!には東京サンシャインボーイズ(以下TSBと略)のメンバーが多数出演されています。知ってるよ〜あの人でしょ?という人から、ええっあの人もなの?というひとまで。1994年6月号の第49号「演劇ぶっく」で、三谷さんが劇団員それぞれに対しコメントしている部分がありますので、それをちょっと抜き書きしつつご紹介。ちなみに三谷さん、けなしてオトして最後に褒める、というパターンのコメントなのでうまく抜粋しないと要らぬ誤解を受けそうで心配ですが(笑)でも、そのどれもが劇団員の方に対する深い愛情から来ているということは、とりあえずご理解下さいませ。斜字体部分が三谷さんコメントの引用です。


彼が一番面白いのはエチュードをやるときなんですよ。だからお客さんは彼の本当の面白さを見ていない筈なんです。勝手に台詞作らせてシュチェーション与えてやると実に的確に役を捉えて本当に凄いんですけど・・・(中略)でも人間的には一番立派な人なんですよ。みんなに頼られて、本来はテヴィエをやってもおかしくない人物です。

実は私、第一話のオープニングでばばーーーん!と小林さんの名前が出たとき思わず泣きました(笑)三谷さんが大河ドラマをやることの意味をその時肌で実感したというか。最近では「寺田屋大騒動」の「この年で初めて恋を知りました。これって罪でしょうか?」がものすごく印象に残ってます。もう大爆笑でしたよ。鳥羽伏見を思うとつらい気持ちになりますが、癒し源さんにまだまだ癒されたい私です。小林隆さんご自身はすごく芸達者な方で、「オケピ!」で素晴らしい歌をご披露されておられましたが、実はタップの名手でもあります。今までの共演者さんの話によると、かなり真面目で熱いお方で演劇論を戦わせるのがお好きだとか。新選組!共演者とも、熱い気持ちをぶつけ合っていらしたんでしょうかね?


  • 浪士組隊士池田徳太郎役野仲功

子供みたいな人で、非常に掴みづらいところがある。ウンチとかオシッコとかって言うとすごく喜ぶ純な人で、ぼくは好きです。(中略)本人がその気にならないようにして、どうしたらいいのかわからないぐらいのパニック状態でちょっと素が見えたときが一番面白いですね。

池田って・・・だれ?なんて方は居ますでしょうか(笑)。浪士組を結成して上洛するとき、試衛館のメンバーと共に居たあんまりやる気も実力もない先番宿割の長です。お顔がすごく特徴的で、私は野仲さんを見るたびになんだか般若を思い出す(笑)。 典型的小役人な様子がいかにもはまっていて見ていて楽しかったなあ。


今のところ、演じられるのが2パターンしかなくて気のいい人物か男らしい役か。両方出来るっていえば聞こえはいいんですが、2つしかできないという極端なタイプで。ただ、かれはトンボきったりとか身体が動きますから、そういうのがまだ生かし切れていないんでやらせてみたいんです。ゆくゆくは野田秀樹くらいまではいくんじゃないでしょうか。

近藤勇の実のお兄さん、という阿南さんファン&TSBファンには心憎いばかりの配役をしてくださったものです。TSB時代の名作「彦馬がゆく」三演にわたって当たり役「近藤勇」をやったのが阿南さんですからね。まったくもってあの名演には泣かされました。新選組!では第5話「婚礼の日に」での、まさに「男らしい」姿が印象的。そしてドラマでも見せて下さっていたように、彼も拳骨が口の中に入ります。勇役の必須条件なのでしょうか(笑)


彼は関西出身で、吉本新喜劇が好きなんですが、彼が稽古で作るアドリブは大抵外すんですよ。(中略)でも役者としては一番変わってきている気がするんで、先が分からないから、たとえば一人芝居とか何でもやらせてみたい。まあ今はその分開花してないってことでもあるかもしれないんですが、雰囲気的にそういう予感がありますね。うまく化ければ岡八郎の名を襲名する日も近いかもしれない。

つい先週哀しい最期を遂げられてしまいました・・・。新選組内のキャラクターとしてはあまり思い入れはなかったんですけど、自分が刺されても斉藤が女を殺すのを目で制したりするあたりが人のよすぎた「まっちゃん」そのもので泣けました。TSBでも不思議にお人好しの役が多かったなあ。TSB休団以降三谷作品に初出演で、NHKの公式サイトのインタビューによると「ちょっと挫折しかけた」そうなのでよ、良かったね甲本さん!と私も嬉しい気持ちです。ちなみにブルーハーツ、じゃないやザ・ハイロウズ甲本ヒロトさんはお兄さん。そういわれれば、よく似ている。


彼は自分が二の線だと思っているところに間違いがあって、自分が思っているほど二枚目でもないし、カッコイイ役をやりたがるんですけどやらせないようにしてるんです。(中略)それより「ラヂオの時間」のアナウンサー役みたいに、ズボンの短い男とか、癖のある人物やらせるといい。本人は嫌がるんですけど。いずれは佐野史郎を超える日も来るでしょう。

個人的には源さんをさしおいて今回のTSB組の中でもっともはまり役だったと思うのが相島さんです。新見、よかったよなあ〜〜〜。彼の最期は心臓がぎゅーっと掴まれる感じがした。あの回は絶対ドラマ中ベスト10に入る名エピでしょう。テレビでは相島さん、イヤミだったり憎たらしい役をやることがとっても多いんですけど、実は気の弱い役とか単純馬鹿な役もすっごくうまい、TSB内のカメレオン役者さんでした。私のご贔屓さん。ちなみにお名前、「あいじま」さんです。「そうじま」じゃないよ〜。



加納鷲雄役小原雅人

まず頭が悪い。鈍くさい。柔軟性も理解力もなくて、動きの敏捷性も切れもなくてどうしようもないやつなんですけど、ただ唯一うちの劇団にいると二の線に近い。背も高いし、華があるっていうと褒めすぎなんで華がありそうな気がするって感じに留めておきますが、もっと頑張れば風間杜夫にはなれると思ってます。人間的には「男・小原」と言われているくらい情に厚いやつで、火事になったとき一番役に立ちそうなんで手放したくないですね。

新選組!ではまだそんなにスポットが当たっていませんが(先週ようやく名前と顔が一致した方も多いのでは)、これから結構ばんばん出てくると思います。三谷さん、すっごく辛辣なコメントですけど、このコメントの次の公演になった最終公演「罠」では「サンシャインボーイズの最終兵器小原がとうとう開花した」なんて事も仰ってましたのでご心配なく。「罠」は本当に良かったしなあ。正直私もそれまで「小原さんて、誰?」ぐらいの印象しかなかった(笑)声がすごく素敵なので、ドラマでも美声を堪能できるといいなあと思ってます。



三谷さんのコメント、最後が大抵「誰々は超える」「二代目誰々と呼ばれる日も近い」って締めてるんですが、相島さんの佐野史郎なんて、10年前の(しかも結構冗談めいた)コメントなのにいいとこついてるなあ、って感心しちゃいます。

さて、TSBメンバーで新選組!に出演していない、となるとどうしても西村雅彦さんの名前があがりがちですが、梶原善さんも近藤芳正さんも出ていないし宮地雅子さんだって出ていない。私が思うに西村さんと善さんは同じく三谷さん作のドラマ「竜馬におまかせ」で、それぞれ清河八郎沖田総司をやったから、というのもあるのかないのか。でもそんなこと言ったらTSBメンバー殆ど「竜馬」に出てるしな。西村さんはもうキャラがある意味立ちすぎていて、脇で使うのは難しいという判断もあったのでしょうか。個人的には近藤芳正さんには出て欲しかったなあと思ったりもします。近藤さんは劇団員じゃない!なんて些細なことはツッこまないでね。そんなこと言ったら野仲さんだってそうだ。

もうひとつ残念なのは、やはり伊藤俊人さんが居ない、ということでしょうか。彼が生きていたら絶対にキャスティングされていただろうと思うと無念です。一体どんな役をやったのだろうなあ。大河ドラマのタイトルロールに伊藤さんの名前を見たかったという気持ちは、私の中で捨てきれない思いです。