「橋を渡ったら泣け」

ねたばれありです。

コクーンでこの作品1ヶ月、と聞いたときにいやまあなんでまたこれを、と思ったんです実際。MONOでやったのを観たんですけど、そしてその作品自体は非常に満足したんですけど、コクーン???みたいな。

個対個だったものが、集団になっていく。集団にはルールが必要、ルールを作ったらそれを守らせる人が必要、それは誰の役目か?力の強いものか?声の大きいものか?その指導者に対するルールはでは誰が決めるのか?基準は一体どこにあるのか?

中盤の「裁判」と言われるシーンが本当にすごくすごく苦手で、MONOで観たとき「ああ今、心底栗田を殴りたい」*1と思うほどにいやで、あそこで誰かが言う「これはいじめじゃないんですよ」っていう台詞ももうあー土田さん許してえ〜〜〜、という感じなぐらいイヤだったんですけど、今回も同じように感じはしたんだけど今回の方が嫌さ加減は薄かった。

それはどの役もやっぱりこれだけのキャストが揃っているからキャラが立っているし、演技もやはり「コクーンサイズ」にちゃんと修正されているし、演劇ですよこれは、っていう匂いが消えずにあったからだと思う。だけど、それがこの作品の肝とも言える「このままいたら、僕やばいですよね」「もっとひどいことになる気がします」という佐田山の台詞をも殺しているのかなあとも思った。あそこで自分の中の怖さに気がつくことが出来る、というのが、私がこの作品で感じる光でもあるわけだけど、暗さが薄まった分灯りの明るさも薄まったのかなあという感じ。

あと、観ながらすごく気になったのは暗転の多さ、そして工夫のなさ。もうちょっと見せ方あるんじゃないのかなあ。

私はキャストを見たときに、これは八嶋さんがもしや栗田をやるのでは?と思って、もうそれこそ殴りたいどころじゃないぐらい八嶋さんいやらしくうまくやるんだろうなあと想像しちゃって、それだけであのシーン耐えられるだろうか自分は、ぐらい思ったんだけど、井上役というのはまったく予想外だった。金替さんと八嶋さんってだって全然かぶるところないように思えるじゃないですか。でもちゃんと井上役として成立していて、うーんさすがだな、と思ったり。小松さん、戸田さんと二人で話すシーンが印象的。大倉くんの佐田山もよかったです。

*1:その時の栗田役は土田さん