「深呼吸する惑星」森ノ宮ピロティホール

2回目の観劇。24日のマチネを見ました。そして、ここでようやく「ごあいさつ」が読めました。アンケートに書いて送ってもらうこともできたけど、やっぱり、劇場で、開演を待ちながら読みたいじゃないですか。

で、この「ごあいさつ」を読んだことによって、何というか芝居の中身もそうだし、鴻上さんが託した想いというか、そういうものがざあああっと一瞬にして視界が開けて見えてくるような感覚があって、紀伊國屋で見たときよりも涙もろくなっていたかもしれない。
以下バレがあるので畳みますね。

紀伊國屋ホールが終わって、大阪公演も3日目だったのかな、当たり前ですが芝居の完成度というか、安定感は段違いでした。それぞれに少しずつ余裕も見えてきたり、その分の遊びも増えていたり。

その中でも大高さんの「意味不明な動き」をやってみせるところでいきなりTHE END OF ASIAを口ずさみながら朝日の冒頭のダンスをやってみせるという所業には口からエクトプラズム出るかと思ったよね。つか、出たよね。なんつー飛び道具を!あーた!そして長野さんと富樫の初対面の場面での「おや、そこにいるね。さあ、握手をしよう」。口からエクト(もういい)

初日には小須田さんが肝心要の演説のシーンでまったくセリフが出てこなくなる(いや正確には出てきたのだけど思い出しながら出てきた。あの人「えーっと」つった、舞台の上でww)とか、一生くんがセットに蹴躓いてコケそうになるなどの紆余曲折ありましたが、この日はそういうこともなく、安心して見ることができたかなーと思います。

そういえば小須田さんがダンスが下手だ(劇中の設定で)というのが当初より推されているような気がします(笑)

橘と富樫と真紀の「幻覚」のシーンで、ここから飛び降りたくなる事があったら、その時はどこにいても駆けつけよう、と一生くんが言うところ、その一瞬で何というか、目に見えない切なさがぐっと会場を覆ったような感覚があったのだけど、それに応えて「ああ」という筧さんが一瞬声を詰まらせたのだった。えっと思ったけど、セリフが言えなくなるようなことはもちろんなく、でもどこか滲んだような声で、筧さんはそのあとの長台詞を朗々とものしていらっしゃいました。なんか、この日の筧さんはいつになくエモーショナルだったような気がしたな。筒井さんとの別れのシーンで、彼女にお礼をいうところでも、なんてことはない台詞なのに(そして初日を見たときはさして印象に残るシーンでもなかったのに)その言葉がぐっと胸に迫ったし、それに応える筒井さんもまた声を詰まらせたのも、その筧さんに引っ張られたんじゃないのかなあという気がする。

それにしても、第三舞台のダンスはどうしてあんなにもかっこいいのか。乱暴に言い放ってしまうけれど、川崎悦子さんの振付をいちばんかっこよく舞台で見せられるのはやっぱり第三舞台だと思うよ!もうそういうことにしとこうよ!そしてダンスのシーンではやはり、長野さんと筧さんのあのキレと美しさが支えているよなあと思うのだ。

初日を見た後、本当に高揚して、この興奮はなんなのだろう、まるで初めて第三舞台を見たときのようだ、なんて思ったりしたんだけど、1ヶ月経ってもう一度見て、飽きるどころか(飽きやすい私なのに)何度でも同じように高揚してしまう。

何よりも舞台の上にいる彼らが、本当に「第三舞台であること」を楽しんで、謳歌していらっしゃるのが伝わってきて、それが何よりも嬉しいことだし、だからこうして何度も足を運びたくなってしまうのだろうなあ。

カーテンコールで、最後の最後に大高さんがひとり、深々と礼をしたときに湧き起こったいっそう大きな拍手がじんと胸に沁みました。ミスター第三舞台。本当に、果てるまできてくれたひとだもんね。

いくらでも書こうと思えば際限なくぶつぶつと書いていそうなんですが、ちょっとずつ心に浮かんだことを書き留めていきたいなと思います。次はKAATで拝見する予定。ええ、あの、お恥ずかしい話ですがわたし結局紀伊國屋ピロティKAATサンシャインキャナルと5カ所5公演を拝見することになっておりますのです…鴻上さんに「ひとりで何回も足を運ぶ観客」のことを「悲しい」とかつて書かれたことも棚に上げ!いいの!もう、最後だから!この際何でも棚に上げさせて下さい!