「破稿・銀河鉄道の夜」  いるかHotel

ネットで非常に評判が高かったので当日券で行ったんですけども・・これがあなた当日大雪で・・(笑)玄関あけた瞬間に「やめよっかな・・」と思ったのですが、やめなくてよかった。久々にひくひくいうほど泣きました。泣きすぎて頭が痛かった。

元は高校演劇コンクールに出品された作品だということなんですけども、まあ、ありがちといえばありがちなんですよ。震災で親友を亡くしてしまって、その親友の存在とその親友と創りあげていた芝居の世界から抜け出せない主人公が、前へ一歩踏み出すまでの話。ありがちでしょ?

でもそれをありがちな安いお話ではなくしているのは、人はいつも何かを捨てながらそれでも生きていかなくちゃいけないんだ、っていうことの切なさがほんとに真摯にとらえられているからだと思う。それを捨てたらウソの世界でも親友と2度と会えなくなる、それでも二人が台本を破り捨てるラストは、今思い出しても胸が痛いぐらいです。

「演劇は、風に記された文字や!終わったホンは、ただの、紙ー!」そうやって空中に舞った台本の哀しさに、拭いても拭いても涙が止まりませんでした。すごい芝居です。遊気舎の谷省吾さんが大事に創りあげてきた作品だということなんですが、これからもできることならやり続けて欲しい。そしてたくさんの人の目に触れるといいのにと、心から思います。

生涯のベスト10には入らなくても、ベスト20には入れたい(笑)。素晴らしい作品でした。大阪公演が最初にあって、その一行レビューでの評価の高さにつられたのを覚えています。この頃はそういう経験をよくさせてもらった。それだけでも一行レビューには感謝。