「法界坊」名古屋平成中村座 昼の部

演目としては拝見するのは三度目。なんだけど、今回が一番面白かった!それってすごい。席が良かったっていうのもあるとは思いますけど、でも「双面水照月」は野外仮設テントならではの趣向もあって興奮せざるを得ない!というようなカタルシス。やっぱすげーな!

法界坊の勘三郎さんはもちろん、要助の勘太郎くん、野分姫の七之助くん、そしておなじみの座組の方々もみな素晴らしいアンサンブルで、平成中村座ならではの破天荒ぶりと、それと同じぐらいの「芸の力」を堪能させてもらったなという感じです。それにしても何回見てもおくみをめぐる法界坊、勘十郎、正八のやりとりは面白すぎる。次に何が来るのかわかってるのに笑っちゃうってすごいよね。

それにしても勘太郎くんの要助はよかった。なんかもうちょっとすごい色気ありまくりなんですけどどうしたんだ!襲名という大きな目標ができて一段とスケールアップしているということなんでしょうか。勘十郎の言いなりになるところ、そのあとの一瞬の逆上、ひいいいい!と息を呑むほどに男前で、花道で見得をきるところとかほんっとに私の目と鼻の先で、マジで目の正月です、本当にありがとうございました。

劇場が設置されたのは名古屋城内の二の丸庭園で、後ろをあけるとなんと借景が名古屋城天守閣という、えーこれちょっと最高のシュチュエーションじゃないの、これで後ろを開けないわけがない、あの串田さんが!と思っていたらやっぱり最後は背面が大きく開いての立ち回り。吹き出す桜吹雪、舞台の奥から流れ込んでくる風、この世の景色とも思えない壮絶さ!

この日はあいにくの雨だったんですけど、篠突く雨のむこうに浮かび上がる天守閣というのもまた絶景でした。やっぱり野外特設テントはいい!