「ウエアハウス〜circle」演劇集団円

  • シアタートラム C列21番
  • 構成・演出 鈴木勝秀

ZAZOUS時代の「ウエアハウス」は見たことがないので、スズカツさんの「ウエアハウス」を見るのはこれがはじめて。パルコでやった「動物園物語」は拝見しましたので、話の骨格は把握していましたが、さすがご自身でライフワークと仰るだけあるなというか、改めて見てみると「ウエアハウス」のシリーズに限らず、基本的にスズカツさんの作品はすべてここから派生してるんじゃないかと思うほどでした。

途中でオリベの語る「妻の声が猫の声に聞こえてきた」というところ、second handでもそういうシーンがあったよなあとか、もちろんノイズを多用した音響効果もだし、ナイフ、もしくは銃といった「決定的な何か」を差し挟んで相対峙させるという構図もだし、ディスコミュニケーションというテーマそのものもそうだし…。しかしすごいのは、それがマンネリと感じられるのではなくて、毎回ハッとした驚きがあるというか、どんな物語の中にも「それ」は潜んでいるのだという驚きをもって見られることなんですよね。

演劇集団円とのタッグならでは、と思ったのは台詞術を信頼した演出にしているところかなあと思いました。金田さんのギンズバーグの朗読はあれでもうひとつの音楽でもありますよね。ほんとに素晴らしい、なんだこれって笑い出しそうになるぐらい圧倒的だったですよねえ。淡々としたリズムで輪を狭めていく橋爪さんのうまさも言わずもがな。

「動物園物語」では二人の年齢が逆ですが、オリベ(ジェリー)を年輩にしたのはあれなのかな、物語を円環にしたかったからなのかなと思ったりしました。円とやるからこその「circle」の副題でもあるし、だからこそエトウ(ピーター)を若くして「次のジェリー」であることを暗示したのかな。人生は巡る輪のように。

円を拝見したのははじめてですが、伊藤昌一さんは絶対お声は耳にしたことがあると思う!どの役、と言い当てられないですけど吹き替えでかなりご活躍されている方なのではと思います。トラムをほぼ素舞台で使ってらしたので、意外なほど広さがあるんだなあというのも新鮮な驚きでした。

さて、スズカツ作品といえば!なkaiさんが初日をご覧になってるんですけれど、「オリベ」と「エトウ」を除いたキャストの役名の頭文字で「ザズウシアタ」になると指摘されていてぎょぴー!となりました。すげえ!ほんとだ!えっこういう仕掛け仕込むのって早稲田劇研の伝統なの?(違うだろ)いやー、こういうの、嫌いじゃないぜ!むしろ好きだぜ!