「鴉よ、おれたちは弾丸をこめる」さいたまゴールドシアター

ゴールドシアター&ネクストシアターは気になりつつもタイミング合わずどちらも未見でした。最近KAAT発信の舞台がよくとよはしでかかるのでとってもありがたい。蜷川さんがさいたま芸術劇場の芸術監督として立ち上げた、55才以上限定の劇団。「民衆史」を身体に刻んだ役者たちと対峙して、「演劇」はどこまでリアルたり得るのか。

今回、客席の平均年齢も相当高かった感じだったんですが、わたしが何にまず驚いたかって、もうめっちゃくちゃウケるんですよ。老婆達の台詞のひとつひとつ、仕草のひとつひとつがドッカンドッカンウケる。それは多分舞台の上の肉体と、観ている彼ら彼女らの肉体が地続きにあると感じられるからこその反応なんだろうなと思ったんですよね。

チャリティショーに手製の爆弾を投げ込んだ青年二人が裁かれる法廷を、彼らの祖母を含む老婆たちが占拠する。老婆達は体制を揶揄し、批判し、それを断罪していく。「なにもしなかった」民衆も含めて。そしてついにはその青年をも断罪する。「おばあちゃん、もっと信じてくれなくちゃ」ととりすがる青年たちの姿は、初演時には学生運動の終焉と重なって見えたのだろうなあ、などと思い、いや学生運動に限らず、いつも若者は若者であることを盾に、もっと信じてくれなくちゃ、と言っているのかもしれないなあとも思った。

しかし、オープニングといい最後の群唱といい、劇的瞬間というものの見せ方をこんなにも体感させてくれる演出家はそうそういないし、最近体調不良のニュースが続きますが、御大どうぞお身体お大事になさってください…なんてことも思ったりしたのであった。