「ワンダーウーマン1984」

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大ヒットした前作に引き続き監督はパティ・ジェンキンス、主演はもちろんガル・ガドット!もともとは夏映画として公開予定でしたが、公開が延びに延び、最終的にはアメリカでは劇場公開と同時に配信スタートとなりました。劇場公開の道を残してくれただけでも御の字ととるべきか、難しいところですな。

タイトルの通り舞台は1984年で、ダイアナはスミソニアン博物館で仕事しながらワシントンで暮らしている(住んでたのがどう見てもウォーターゲートビル!)。強盗の被害に遭った宝石店が盗品を扱っているおそれがあるとしてFBIから博物館に鑑定の依頼が来るが、その中に不思議な石の遺物があり、そこには「一つだけ願いを叶える」と書かれていた。

製作の早い段階でクリス・パインが再び登場することが告げられていて、どうやって?スティーブ・トレバーとして?それともドッペルゲンガー的な?と思っていましたが、こうきたかー!となりました。あの再会の場面、「僕は今日を救う、君は世界を救え」ってあの最高の台詞をいま言っちゃうのお!?とも思いましたが(合言葉みたいに片方ずつ言ってもよかったのにー)、まさかの「中身はあの人」方式とは。とはいえ、ダイアナとスティーブのふたりにはなんつーかこう、ちゃんとケミストリーがあって、ふたりが並んでいるシーンを見ているだけで心躍るものがある。デートの定番お着替えセレクション、今回はクリパさんがほんなこつめんこかったね。

しかし、全体としては大味だなあという印象の方が強く残ったかも。願いを叶えるというアイテムそのものがまあ大味と言えばそうなんだけど、願いを叶えるためのタスクというか、リスクが明確じゃないうえに、その願いの取り消しにもなんの縛りもかけていない(石を手にしたうえで唱えなければならない、とか)ので、雑に手あたり次第願いを叶え、雑にキャンセルを受けつけるという展開になってしまった。

これは邪推の域とは思うけれど、この「石」が産むドラマは、かつて愛した人の心(スティーブがそっくりそのまま出てくるのではなく中身だけ甦ったのは、ダイアナがスティーブの心の復活を願ったからなのかな)を望む、それ以外のものはすべてを手にしているダイアナとスティーブのロマンスと別れにのみ最高に効力を発揮していて、このふたりの別れの在り様を書きたいがための装置、という感じがしてしまったなー。いや、そんなこと言いつつもほろっときたけどね!ダイアナとスティーブ大好きだからさ!

ペドロ・パスカルはめっちゃよかった、最高にイッちゃっててどんな末路をたどるのかと思ったけど真の願いを叶えて終わったのでそういう意味ではクリスマスっぺー話でもあるなと思った。クリステン・ウィグは最初のドジっ子ぶりから一皮ずつめくれるようにあか抜けていくさまが見事。アクション勝負はもっとがっつり見たかったな~、場面が暗いとどうしても物足りなさが残る。あとゴールドアーマー、あんな鳴り物入りで登場したのに「え!終わり!?」感が否めず。最後のマックスとの対決で「みんなに語りかけてる」つって言葉で人の善性を呼び覚ます場面も、しかしそれだけのパンチのある「言葉」ではないように感じて個人的にはノれなかったところでした。