「ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!」

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ビルとテッドの大冒険ビルとテッドの地獄旅行も見てないんですけど、なんかこうパーっとしたものを摂取したくなって、上映時間も91分とコンパクトだしというのでふらっと見に行ってきました。監督はディーン・パリソット。

かつて一世を風靡したバンドが売れなくなってもろもろ方向転換して、いったい今やってることはなんなんだ…?と自問自答するところまではまあ割とよくある話なんですが、そこからぐいっと話が飛んで宇宙から使者がやってきて、世界を一つにする楽曲を77分後までに作らないと時空が歪んで人類が滅亡する…!っていう、大らかすぎる展開。

しかしこのビルとテッドのふたりがですね、まったく湿ったところがなくお互いが大好き、それと全く同じテンションで奥さんと娘が大好き、奥さん同士と娘同士も大好き同士で、基本的にそこが揺らぐシーンがない。未来を見に行って不吉な予言されて慌てるところはあっても、ビルとテッドの「絵にかいたような善良さ」は一貫してるわけです。そこを揺らがせた方がドラマは起きやすいんだろうけど、そういうのはこの映画、求めてないんで!という感じですがすがしい。

ローガン/プレストンのふたりが世界をひとつにする楽曲を作る、という映画の中で与えられた課題の意味がわかるところ、予想はついてもその描き方がまさに「今」だし、ちゃんとアップデートされた映画だなー!と思いました。

しかし、いちばん感動したのはエンドロールかもしれない。世界中のいろんなひとが楽器を手にして歌う、踊る。シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラエル・システマじゃないけど、歌うことや踊ることが人にもたらすものをむちゃくちゃ衒いなく現しているようでぐっときた。「ジョジョ・ラビット」の台詞を思い出した。踊るって、自由な人がすることだから。

柄にもなく、あんなふうにみんなが「自由に」踊れる日が一日でも早くきますようにと祈るような気持ちになりました。