「八月納涼歌舞伎 第一部」

「次郎長外伝 裸道中」。新国劇で上演されていた作品を歌舞伎で初めて上演とのこと。博奕で素寒貧になっている勝五郎と女房みきのところに、昔世話になった清水の次郎長一行が一夜の宿を借りにきて…という筋書き。とにかく徒手空拳でも見栄を張るのが男の意地みたいな人が主人公なので、獅童さんの愛嬌過多な佇まいと七之助さんの品の良さで見る側の気持ちも絆されちゃうが、ふと冷静になればなかなかにひどい話である。親分らの着物をかたに博奕を打ってそれで親分たちをもてなそうと思いました~!って、ぶっ飛ばされてえのか!って感じである。でも次郎長親分はそういうなけなしの魂みたいなやつを汲んでくれる方なので許してくれるのであった。最終的に大団円となるのだが、タイトルに偽りなし、マジで終盤今年の夏のふんどし祭会場はここでござんす!みたいな絵面になっており笑いました。彌十郎さんの次郎長親分じつに良かったです。

大江山酒呑童子」。勘九郎さんでこの演目を見るの3回目?ですかね?ご自身でも気に入っておられるのかな?と思う。良い席で拝見できたし、このところの「勘九郎さんの踊り見たい見たい欲」を満たさせていただきました。見れば見るほど体幹おばけだし、あどけなさとその裏の禍々しさを感じさせるお顔も大好物でございます。平井保昌で幸四郎さんがお付き合い下さっているのもうれしかったです。