「PHANTOM ユリョンと呼ばれたスパイ」


ツイッターで評判よさそうなのを見てホイホイ見てきました。いんやー面白かったよ!!日本統治下の京城(ソウル)で抗日組織「黒色団」のユリョン(幽霊)と呼ばれたスパイを描くストーリー。監督・脚本はイ・ヘヨン。

予告編を見た印象だと、スパイの嫌疑をかけられた人物が一つ所に集められ、その閉鎖された中でのフーダニット(誰がユリョンなのか)をみせていくサスペンスなのかなと思ったら、もちろんそういう部分もあるんだけど、集められた中で「ユリョン」が誰なのかは観客には冒頭で示されてるんですよね。なので、この隔絶された中で「誰がユリョンの味方なのか」という緊張感が序盤のストーリーを引っ張るわけです。で、その緊張感が後半は一気にテイストを変えて、「ユリョンたち」がこの死地をどう脱するかというアクションムービーにシフトしていく。このあたりの展開の見事さよ!

ここから先具体的なネタバレになるけど、チャギョンと佑璃子の後半のシスターフッド、エグない!?!?最悪の第一印象からスタートして、同志だと判明してからの共闘、お互いの過去の傷を知り、背中を預け、互いのために命を賭ける…これでシガレットキスまでぶっ込まれた日にはもうどうしたらよかとですかー!マジで終盤「えっこのエピだけで白飯が3杯食えるが…?」みたいな場面が怒涛の如く畳みかけられて息も絶え絶えだったおれだよ。

あとすごいなと思ったのが、この映画の舞台設定が日本統治下の京城なので、ものすごく日本語でしゃべるセリフが多い。それを演じている役者さんたちの日本語力の高さ、台詞の文法の確かさ!なんちゃって日本とは一線を画しますわ。

たとえばRRRは英国統治下のインドで体制に立ち向かうドラマだけど、この映画は女性版RRRといってもいいドラマだよな~と。この映画の中では日本は倒されるべき体制側なんだけど、こういってはなんだけどすごくフェアに描いてくれているというか、権力欲にまみれた高原も、血筋ゆえに複雑な立場にある村山も、ステレオタイプではなく血肉の通った「倒されるべき相手」だったのがすばらしいなと思ったな。

ツイッターでの評判を見ていなかったら足を運んでないと思うし、いい映画見られてよかったな~という満足感がむちゃくちゃあります。ラストシーンは歴史からみればIFの世界なのかもしれないけど、その夢のようなショットもふくめて完ぺきなラストシーンだなと思いました!