「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」


ロアルド・ダールの「チョコレート工場の秘密」におけるウィリー・ウォンカのキャラクターをフューチャーした作品。監督はポール・キング

大ヒットしたジョニデの「チャーリーとチョコレート工場」とはほぼリンクしておらず、単体として見た方がよい感じ。今作のウォンカはショコラティエとしての腕は超ド級であるものの、変人というには奇天烈ぶりはそれほどでもなく常識人、お母さんの思い出を胸に一旗揚げようとする心優しい青年といった風情。

ウォンカが訪れた街では一部の人間が「ショコラ」を独占し、競争相手の商売を賄賂や脅しを駆使して妨害、それを取り締まるはずの警察トップとずぶずぶの関係で、かつそのバックボーンには宗教団体が控えている…という、どこのフィルムノワールだよ!?という設定で、媒介しているのがチョコレートだからなんか児童文学のインスパイア作品です!みたいな顔をしているけれどこれどう見ても麻薬戦争ですよね感がすごかった。

ウォンカとヌードルが知り合うアコギな(というかほぼ人身売買まっしぐらな)宿屋の搾取ぶりもえげつなく、そういう意味ではわりと勧善懲悪ふうではあった。宿屋で強制労働させられている面々と一致団結して「敵」を倒そうと大作戦を練るところとかね、それぞれのキャラクターも立ってて楽しかったし、ウォンカはどれだけ悲惨な目にあっても基本楽観的なので、暗い気持ちにならずに見られるのはよかった。あとやっぱりチョコレートの魅力よね。これどうやっても見た後チョコレートが食べたくなっちゃうやつなのよ。

見ていて、あれっこれってブロードウェイ発でしたっけ?ってぐらいミュージカルとして仕上がっているので、この映画も早晩舞台化になるんじゃないかなどと思ったり。

ティモシー・シャラメのウォンカ、麗しさ1000パーに世間知らず面白青年感70パーという感じで圧倒的に麗しかった。何にまみれてもうるわしいのでシャラメのうるわし力がすごい。オリヴィア・コールマンサリー・ホーキンスはそれぞれニンを存分に生かしたいい仕事っぷり。あと最近見る映画見る映画ぜんぶにヒュー・グラントが出ているような気がしてきたけどたぶん気のせいです!