「歌舞伎町大歌舞伎」

  • シアターミラノ座 1階B列21番

THEATER MILANO-Za初お目見え~!新宿に芝居を見に来るのも久しぶり。私が初めて東京に芝居を見に来たのは1991年の「朝日のような夕日をつれて1991」で、劇場は当然紀伊国屋ホール。その後も東京で芝居を観るといえば新宿か渋谷、という時代が長かったけど、最近はホントに足が遠のいてたな。

今回の演目は虎之介さん鶴松さんの「正札附根元草摺」、勘九郎さん&御子息ズの「流星」と、落語の「貧乏神」をもとにした「福叶神恋噺」というラインナップ。

「福叶神恋噺」は初めて拝見しましたが、腕のある職人なのにのんしゃらんと日々を送り、妹にまで愛想を尽かれて見捨てられる辰五郎が、ぐうたらすぎてとりつく甲斐がない、と出てきた貧乏神に働け働けとせっつかれるも、たまりかねて世話をやく貧乏神のおびんちゃんにおんぶにだっこで全く性根を入れ替えない…という、ほんわかコメディ&ほろり人情噺という間違いない筋書きのやつ。途中で京鹿子娘道成寺の「恋の手習い」のパロとかもあって楽しい。

七之助さんは卓越したコメディセンスのあるひとなので、おびんちゃんがはまり役なのはもちろんでしたが、個人的に辰五郎をやった虎之介さんがむちゃくちゃよかったなと。くりっとした大きな目でにくめないベビーフェイス、どうしようもねえなあと思いながらみんなが世話を焼いちゃう愛嬌がはまっていたのはもとより、おびんちゃんの頭陀袋の金に手を着けようかどうしようか迷うところ!あそこの芝居すごくよかった。絶対ダメと頭でわかっているが、人間は頭でわかっていることでは動かない、というのがよくわかる、半笑いのままダメな方、ダメな方の選択をしちゃう人間の顔がよく出てて素晴らしかったね。虎之介さん、女殺油地獄の与兵衛をいつかやってみてほしい。

勘九郎さんは「流星」でガチ赤ふんで踊りまくるという、踊りのうまさ楽しさを堪能すると同時に、本当にわたしの御贔屓はよく脱ぐなあ…と思いをはせるという(笑)

個人的には、生き馬の目を抜くじゃないけど、いまや日本の殺&伐を代表する歌舞伎町のど真ん中でせっかくやるんだから、演目も血で血を洗うドロドロしたやつをこってりたっぷり観たかったな~と。それこそ三人吉三とかさ!今後もし機会があるならよろしくご検討ください!