「真情あふるる軽薄さ2001」

まあとにかく蜷川幸雄出世作にして伝説の芝居、ということで(母が『ほんと話題になったのよ〜』と力説していた)東京遠征にかこつけて行って参りました。古田にーやんが出るということもあってね。って、あたし古田さんの出てるの殆どフォローしてるんじゃないか?

ま、えんげきのページの一行レビューでもさんざっぱら叩かれておりますが(笑)、でも私はそんな言うほどキライでもないっすよ。「伝説」の内容をいろいろ詳しく聞いたりもしたので、それは今の時代今の状況では成立するめえ、とも思っていたし。それでもなんつーか、変わらない動かないモノ(=大衆?)に対して、青年が滔々と茶々を入れているその中身は、いつの時代も変わらないのねとも思ったし、というか、あの時代に滔々と茶々を入れていた「青年」自体も、結局はそうやって動かない大衆を相手にすることに酔っていたのじゃないかという気がしました。最後に出てきた「遅れてきた青年」は、そういう一種幸福な対立関係のタテマエなんかぶっ飛ばし、全てをなぎ倒して去っていくわけですが、それは今のアンファンテリブルのことなのか、それとも蜷川幸雄自身なのか、それは見た人の解釈なのでしょうが、そういう余地があってなんか面白い。青年に殴りかかっていくシーンでその瞬間だけ見られる行列の46人の狂乱ぶりはなかなか見事でした。

ただ、昔の面影を残そうとしたのかなんなのかわかりませんが、参加型自由席っつーのはいらなかったと思うなぁ。いっそ全て他人事の、つめたい見物型の方がよかったと思います。

初日の直前に主演するはずだった萩原聖人さんが急病で降板、代役を務めたのは蜷川さん最近おなじみの高橋洋さんだったですけれども、いや、あの短い期間でよくやったと思いますよ。板の上に上がるからにはそんなこと斟酌する必要ないのかもしれませんが、それにしてもあの期間であの台詞の量っつーのは、見事としか言いようないです。アナを開けなかったのは、紛れもなく彼のおかげな訳だし。鶴田さんはその脱ぎっぷりばかりがワイドショーで取り上げられてましたが、なかなか舞台度胸はいいのではないかなぁと。ただ声がちょっとこもるので聞き取りづらいのが難点。古田さんはまあ、安定感あってやっぱうまいよね、というところでしょうか(笑)古田さんの今までなかった一面が!とまでは行かなかったですけどね、さすがに。

それにしても美しいタイトルだよなぁ。いいなぁ。タイトル大賞あったら間違いなくこれにあげたいな(笑)