「赤い鳥逃げた・・・」   離風霊船

もう何があってもこの作品の再演だけはない、と思っていただけに驚きも二倍でした。ちょうどあの御巣鷹山日航機墜落事故から10年ということで、この名作中の名作が6年ぶりに甦ることになったわけですが、いくら最近の離風霊船に愛想を尽かしたとは言っても(ラストスパート以降ね)「赤い鳥」だけは見逃すわけにはいかない。芝居自体は私の観た'89版と演出・脚本とも殆ど変更はなく、キャストのみ少々いじった程度でちょっと安心。しかしやっぱり何回見てもこの作品は凄いわ。名作、という言葉に相応しい。笑えるところは凄く笑えて、だけどやっぱりラストの独白からは胸を締めつけられずにはおかない。頭上をゆくライトは飛行機としか思えないし、家が崩れて突如現れる御巣鷹の山には心が震えた。こういういい作品を見ると、「演劇の力」というものを誇りたくなるね。

初めて見たのは89年で、ものすごくショックを受けましたね。OMSの桟敷の後ろから飛行機が頭上を越えてゆく演出は忘れられません。OMSの思い出といえばこれですね、私にとっては。