「きゅうりの花」  MONO

とある田舎町の青年団。村おこしになにか策を練らねば、と出た案がみんなで村ではお馴染みの「イエイエ節」に踊りをつけて踊ろうということになったのだが・・・

なったのだが・・・なんて書いているけど別にそれは単純にストーリーの中の骨格にすぎなくて、だから別に芝居の最後で村おこしが成功した、失敗したなんていうわかりやすいオチがつくわけじゃない。失敗したか成功したかはどうでもいい、これは、とある田舎町に生まれて育った、あるものはそれを一度は捨て、あるものは捨てられない若者たちの話だからです。

MONOの役者さんを見ていていつも思うのは、そのあまりのナチュラルさ。このひとたちもしかして本当にこの村に住んでるんじゃないの?と思わず思ってしまうような佇まい。今回は設定がとある田舎町、ってことでみなさん方言をマスターされていたんですがこれもまたあまりにも自然でさあ。土田さん曰く別にどこの方言、と決めては居ないようですが、ちょっと名古屋の方が入ってるかなぁ、という感じ。幼少期を名古屋で過ごした人間にはなんかこう、くるものがありました。

彼らの、村おこしに紛糾するさまをずっと見ていて、仲間内での喧嘩、よそ者に対する団結、そういうものを間近で見ていて、だからこそ最後の葬式の喪失感はぐっときます。まるで本当に仲間を失ってしまったかのような気にさえなります。(実際カーテンコールで出てきてくれたときちょっとほっとした)良質の舞台を見させてもらった、という感じでしたね。