「そなたも同じ野の花か」

いやーもうどこから書いていいか戸惑うほどツッコミどころ満載で(笑)とは言いながら結構楽しかったですけどね。主人公の腕下主丞が「こんな男絶対嫌!」って言いたくなるくらいのマザコンで、二言目には「母がー、母がー」言うてるのもおかしいし、それに敵対する尾張宗春がこれまたどうかと思うほどのシスコンで、「そなたも同じ野の花か〜マザコンvsシスコン」という副題を付けたくなるほどの暴走っぷり。しかもこの宗春役の千葉哲也さんが熱演熱演また熱演。三幕なんて殆ど主役です。しかも全幕通してたぶん一番セリフ量が多い。というのも田村「主丞」正和様は舞台にいても直で喋るセリフは最小限で長いセリフはすべて「天の声」(つまりテープですわ)ですませてしまうという「それってアリ!?」な処理をされていらっしゃるので(笑)。

しっかし、これはワールドです。マサカズワールド。いくら長セリフは全てテープで処理していようと、セリフの語尾を延ばしすぎであろうと震わせ過ぎであろうと溜めすぎであろうと、これはマサカズ様を堪能するワールドです。あの殺陣のため方の見事さと言ったらもう!おばさま方の乗り出し方といったらもう!照明はレーザー飛び交うし、衣装はいちいち変えてくるし、無駄に長髪だし、いやいや、ききしに勝るとはこのことか。照明と装置に金をかけている割に音楽がワンパターンしかなかったのは不思議ですがまあマサカズワールドではそんなことは気にしない。

日記でも書いたように千葉さんが出てきて一言喋った時、あ、これはなんだかしっくりくるわ、と思ったんですけどいわゆる新劇な方々と、小劇場な千葉さんではどうしても芝居のタイプというのが違って、一人ある種オーバーアクトな力の入った芝居を展開しまくる千葉さんの演技に心慰めながら、つくづく私はこの畑で育っているのよねえと思わずにはいられなかったっす。