「飛び加藤」

こんなことを言ってはなんですが、期待値がものすごくフルフラットだったので*1思ったよりも楽しめた…!という満足感ありました。やっぱり演出家ってだいじだなー。初日に拝見しましたけれども、ちょっとしたトラブルもありましたが大過ない幕開けという感じだったと思います。

普段へなちょこだけど実は…!みたいな役ってあまり筧さんのイメージないなーとか、あれっ?髑髏城…?とか、おさえちゃん…?とか思ったりなんだりもありましたが、ひとつの筺をめぐる「回想」の形にしているおかげで情報過多なところの説明もすっきりしていたし、語り手となるお二方のキャラクターもいいしで随分見やすかったです。反面、主人公がなにをきっかけに「転向」したのかというあたりが描ききれてない感があったのも否めず。

与三郎との会話から察するに、幼馴染みの離反→仲間を討つことができず、というあたりなんでしょうけれども、そこから汲み取るにはあっさりしすぎてるんですよねえ。

とはいえミカイチ艦長演じる与三郎がたいそうかっこよかったので、登場シーンで「よし、元は取った」とか思いましたええ。その三上さんと筧さんの殺陣も存分に観ることが出来たのもうれしかった!忍びの者という設定なので間合いの近い殺陣ですが、おふたりともすばらしい仕上がりでしたよ。いくつになっても筧さんのあの身体のキレには感服いたします。

あとキャストをちゃんと把握していなかったですけど、六角さんとか森戸さんがいてくれたの嬉しかった。なんだか馴染みの顔を見つけるとほっとするっていうね!涼風さんはそれはそれはもう楽しげに妖術使いを演じていらっしゃいました。あの声色の自由自在さはさすがですね。

幕切れを語り手でもあり、本物の手妻師でもある藤山新太郎さんが締めて下さって、その鮮やかな芸と芝居がリンクしてとてもいい余韻を味わえたなーと思いました。

*1:つまるところあがってなかった