「赤坂大歌舞伎」

◆操り三番叟
勘九郎さんで操り三番叟見るの二度目かな。今回はお席が前方だったので、表情をガン見してしまったんですけど、ほんと勘九郎さんの目がすごい、あんなにどこも見てない目を人間できるものなのか!っていうか瞬きしなさすごいな…と見入ってしまいました。個人的に最初に腕を吊られるときの反った手の形が好きです。そして相変わらず重力度外視な身体能力すばらしい。糸が絡まっちゃったときの動きとか(もちろん実際には糸はないんだけど観客にはちゃんと糸が見えている)箱から出される時とか、絶妙な無機物感がすばらしかったです。

◆於染久松色読販 お染の七役
やっぱりなんと言っても七役の早替えが眼目、というところでしょうか。拵えもそうだし、出ハケのため具合も堪能しましたが、個人的にこのまったく違う七役を演じ分けるところこそ見応えあったなという感じです。とくに竹川、小糸、貞昌あたりは拵えだけでなくその表情声色、佇まいで身分(と職業)を一瞬でわからせる芝居がいいですよね。早替えについては、個人的にはもっとドヤ感あっても好きなんですけど、七之助さんはそこまでドヤってなかったような気がします。このあたりは役者の個性なのかな〜

あと早替えという眼目はどうしてもトリックに目がいきがちになってしまう中、がっつり見せてくれる土手のお六と喜兵衛の場面は楽しかったですね。個人的にこういう伝法な口調の七之助さんがとっても好みというのもあるし、ヴィラン好きとしては勘九郎さんの喜兵衛はもう御馳走でしかない。うふふ。死人を足蹴にするとことか最高ですし棺桶にすぱっと飛び乗っちゃうところも最高でした。油屋でことが露見したときの(久作が出てきた時の)顔、おかしいったらなかったよ!その前の莨屋の場での、夫婦息のあった悪だくみぶりもよかったなー。

私の周りにはすごく素直な良いお客さんが多く、七之助さんの早替えのたびに「わっ」「はやいっ」「うそっ」ととてもいいリアクションをされていて、私も一緒にニマニマと趣向を堪能できて楽しかったです。