「来てけつかるべき新世界」ヨーロッパ企画

凄く久しぶりのヨーロッパ企画!いやー新世界でした。A NEW WORLDではなく、あくまで「SHIN-SEKAI」。ディープな大阪においてもなおディープな、トップオブディープ大阪な新世界。そんなSHIN-SEKAIに迫り来るNEW WORLDを、牧歌的なような、そうでもないようなテンションで描いていました。

ドローンによる監視カメラ、警備ロボットが横行する世界。住人は皆ヘッドセットをつけて街を歩く人びとを値踏みする世界。人間が将棋でコンピューターに惨敗する世界。けっこう殺伐としているようなのに、すごいデジタルな話をアナログでしている感、を醸し出すことに成功しているのはこの劇団の味でもあり、新世界という独特の世界を舞台の上にちゃんとあげることが出来ているからなんだろうなーと思ったり。

だって、あの阪神のおっちゃんとか、おるもんな!ほんまに!あの佇まい、もう着ている服の匂いまで「あるある…」と言ってしまいたくなるリアル感。どうやって生計を立てているのかようわからん店が軒を連ねるのも「あるよな…」だし、いったいいつ仕事してるんやと言いたくなるおっちゃんらが店先で将棋してるのも、まさに新世界ですわ…という感じ。

生活に入り込んでくるAIたちにもどこか泥くさいところを作ってあげているのがよかったなー。個人的にはロボット嫌いのコインランドリー店主のところでなにくれとなく警備してくれちゃう「パトロー」がかわいかった!あの、去っていくパトローを呼び止めるとこ、バリアフリーな登り台を設置してあげるところ(サムズアップでもかましそうな勢いつき)、めちゃくちゃ笑いました。でも、そのあとパトロー中身バックアップされて新しい新型に変わるんだよね…いや今日まさに携帯を新しく機種変更して、そしたらもうガワを替えても中身だけモリモリと再現されて元通りになっちゃうの、あれほんと便利だけど何とも言えない複雑な気持ちがするっつーか。

で、じゃあ人間は?人間の中身をicloudみたいなところにバックアップしてて、ガワが古くなっても中身を取り替えたら?それはもとのまんまの自分と同じなの?っていう、そういうところにもサッと足を踏み入れてみせるところが、なんともニクイところですね。

きて屋という串カツ屋をめぐる構成ですが、「きて屋に来てや」というとおり、来てけつかるべきなのは「あなた」が「新世界」になのか、「新世界」に「新世界」が、なのか、そういうところも、うまいなーと思わせてよかったです。