「名古屋平成中村座 同朋高校公演 昼の部」

今年は勘三郎さんの13回忌追善を1年かけてゆかりの地を回られるようで、3月は平成18年以来となる名古屋の同朋高校体育館を「平成中村座」として上演。私はその時の公演は拝見していないのでここにお邪魔するのは初めて。同校の生徒や教員、父兄の方々がボランティアでスタッフを務められており、なかなかアットホーム感のある公演に。2月+高校の体育館=極寒では!?と怯えてましたが会場内はいい感じに暖かく、名物の仮設トイレはないものの校舎内のトイレをてきぱき案内してもらえてひどい混雑も発生せず、前方座布団席で腰とケツは死にかけましたが観劇環境としては総じてよかったなと。

さて昼の部は「弁天娘女男白波」を七之助さんの弁天小僧で。過去に何度か拝見しておりますが、今回最前列しかも目の前のお席だったので思う存分七之助さんの見あらわしを堪能させていただきました。前半の美しさからの落差が効いてるから観客のウケもすごくよかったなあ。知らざぁ言ってきかせやしょう、の台詞の待ってました感もいい雰囲気でした。稲瀬川勢揃いはビジュアル的にも見てて楽しいやつよね。勘九郎さんの鳶頭、隅から隅までかっこよくて眼福。あと喜多村緑郎さんの日本駄右衛門もよかった!

「身替座禅」。勘九郎さんの右京、扇雀さんの玉の井で。弁天小僧もそうだけど、歌舞伎になじみのないお客様でも親しみやすい演目が選ばれてて、それはちゃんと奏功しているなと思いました。会場がちゃんと楽しんでいる空気になっていたものなあ。奥方の造形が、以前見た時より実に依っているというか、お客さんが奥方の心情に軸足を置いて見られるような雰囲気に仕上がっていたのが印象的でした。