「三代目、りちゃあど」  夢の遊眠社


これは不運としか言いようがない。1回目の時の客が悪すぎた。変なこと叫ぶおっさんはおるし、横のねーちゃんはもの食べながらひそひそ話すし。これ今思い出してもすっごくいいホンなのに(芸術祭賞もらってるぐらいだから)っとに残念だ。おかげで泣けなかった。第三舞台や遊眠社はすでに一定のレベルが確保されてて、+αがどこまで行くかってところなんだけど、これキャストも良かったし、演出も良かったし、ギャグも冴えまくり(特に佐戸井+浅野コンビ)だったし・・・ああ口惜しい!

まあ2回目でだいぶ盛り返したんだけどね。羽場さんが実に役にはまっていて、美しい体の線を魅せつけるように動いてました。浅野さんと佐戸井さんは女装コンビで、これが笑かすんだ!ほんとに!佐戸井さんなんかあーんな体おっきいのに女装似合うのよね。浅野さんは家元夫人で、いい味出してたなぁ。「私は千利休の流れを汲む茶汲み女よ!」ってのがよかったね。

野田・上杉・段田トリオはやっぱり大黒柱っていうんですか?上手いんだよねぇ。竹をかきわけてく上杉さんの激しいリチャード、びっこの弟を抱えて自由になれない段田さんのシェイクスピア、そしてシェイクスピアを憎む金貸しのシャイロック・・・。三者を裁判制度の形を中心に、シェイクスピアの妄想を描いたこれはほんと野田さんの天才ぶりを見せつけていて、あの蜷川幸雄さんの絶賛を浴びたほど。客を陪審員に据えて客席を上手く使った芝居でした。羽場さんのホストばりの声と姿が忘れられません。

    • 12月12日 2回目観劇/1階I列24番

野田・上杉・段田の3人が同じ舞台に立つことはこれ以降ありませんでした。それを思うと、あの時近鉄劇場で、変な合いの手を叫んで芝居を台無しにした男に改めて憎悪を感じずにはいられません。
それにしても、これが上杉さんが野田さんの台詞を言った最後の舞台になるとわ…。「今ここに一頭の馬あらば、代わりに我が王国をくれてやる!」
あーあ・・・・。