「じゃばら」 遊気舎

はっきり言ってつい最近までこの劇団の名前すら知らなんだ。もう結成して10年なんだねぇーー。まったく気にとめたこともなかったんだけど、なんか突然「羽曳野の伊藤」なる人物が目に付きだして・・・。

「12人の入りたい奴ら」でも面白かったしなー。チラシでも、「伝説の舞台の再演」って言い切ってたし、ま、モノはためしとばかりに行ってみたんですけど、いやー、よかった。少々ベタな部分も、、洗練されていない部分もあるけど、ラストシーンのあの美しさはすごい。暗転の中で叫ぶ「監督!雪買ってきましたよ!こんなんでいいんスか!監督!」のセリフ。そして一転、降りしきる雪の中を進む行進。わけが分からないのに涙があふれるなんて久しぶりの経験だった。

役者さんももう、上手いのなんの。楠見薫さんは、切れたお嬢様ぶりも、紳士の時もお見事の一語に尽きるし、(「げっちゃ」って癖になりそう)川下さん演技派だし、うべん・・・・さんは、いやーこんな女優いていいのか?とこっちが心配するぐらいアブナイし、久保田さんはもう、出てきただけでおかしい。(しかも美声)あーー、あの紳士の見世物小屋のシーンも良かったよなぁぁ!想像力をかきたてられるというか・・・トム・ノーマンとエレファントマンの別れのシーンも切なくて大好き。いやあね、ちょっと癖になっちゃいそうな劇団ですね、ここは。

いやーもう書き写していて思うけど97年のこの当たりっぷりはどうだろうか。「じゃばら」も本当に大好きな作品。再演して欲しいような、欲しくないような複雑な気持ちですが、もし再演するなら後藤演出じゃないと絶対許さない!と我が儘言いたい。川下さんのトム・ノーマン良かったなあ。
「銀貨の王様、トム・ノーマン一座でござ〜い!」