「四月大歌舞伎 夜の部 毛抜・口上」

「毛抜」
すっごい楽しい演目だった!華やかで楽しくて、もしかしたら3月4月通じて一番「襲名気分」を味わったかもしれない。お家乗っ取りを謀る悪者を、粂寺弾正が見事な推理の冴えで退ける、というお話なんだけど、確かに理屈に合わないところはあるものの、でもこれは理屈じゃないですよねー。いいのいいの、楽しければ。そういうお話だってありますとも。
絵に描いたような悪者八剣玄蕃を演じる團蔵さんの、これまた絵に描いたような悪者演技も面白かったですが、なんと言っても團十郎さんの粂寺弾正が最高!ほんっとになんて愛すべきオーラなのかしら。毛抜と小柄は踊るのに、煙管は踊らぬ。うーん。って考えちゃうとことかあまりにもラブリーでときめいた。男も女も見境無しに口説くひとで、でも全然いやらしくないんだよなー。いや、勘太郎くんの手を取ってナデナデスリスリしていたときは「うーわーー!!」と思ったけど。いや勿論「羨ましい!」という意味で。ふられた後の「面目ない」って挨拶がまたおかしい。
マイラブ勘太郎くんは立ち回ったり驚いて兄の切腹止めたり煙草盆運んできたり口説かれたり立腹したり、あらまあ百面相vというぐらい見所があってよかったです。なにより彼の見目麗しい手がこれでもか!と拝めてもう・・・私が弾正になりたい(結局そこ)。

「口上」
先月よりもなんだか皆さんこなれてきた印象があるのは気のせいなのでしょうかしら。左團次さんは毎回本当に面白い。こういう人大好きです!玉さまは「先月鰯売の楽日のあと、『なんだか終わっちゃうのがさびしいわね』って話を勘三郎さんにしたら『でも兄さん、4日後にはまた別の芝居で一緒なんだよ』と言われた」というお話をご披露。これ、初日は「4日後には僕に殺されてるんだよ」だったらしいんだけど、その方が断然面白いですよね。でもネタバレなんだよなあ、次の演目の!なんか惜しい。口上から復帰の七之助くんの挨拶は短め、勘太郎くんは背景の美術のご紹介。二人とも、他の出演者から「お二人のご子息も」とか名前が挙がるたびにちゃんと小さく頭を下げていて可愛らしかったです。勘三郎さんは、今回なにより團十郎さんが、病気から10ヶ月ぶりに歌舞伎座復帰ということで、この舞台に戻ってきて下さったことが何より嬉しい、とご挨拶。歴代勘三郎の襲名には、必ず團十郎が口上を述べるという伝統があるそうで、この日も團十郎さんの挨拶の時ひときわ大きい拍手が起こっておりました。