「二月大歌舞伎 第一部」

「本朝廿四孝」。十種香初めてだったっけどこかで見たことあるっけと自分で自分のブログ検索したら勘九郎さんの濡衣で拝見したことあった。そしてここからどうなる!と思ったところで終わるのでその先のあらすじを検索してしまうのも全く今回と同じことやってた。人間的成長なし。前方のお席だったのでお香の香りがまことに良く堪能。魁春さんの八重垣姫、孝太郎さんの濡衣、門之助さんの勝頼の顔合わせでした。

「泥棒と若殿」。松緑さんがご自身のブログでこの演目にまつわる三津五郎さんとのお話を思い入れたっぷりに語られていて、そう言われると…見たくなるやろー!(そればっか)

なるほど山本周五郎印というか、身分の差はあれどそれと関係なくお互いがお互いを思いやる、若者二人の厚情をどストレート、直球勝負で描いていて、まあ正直、めっちゃ好きなやつっすわ!なんすわっ!と思いましたし松緑さんステキなブログ書いてくださってありがとう…!と心の中で手を合わせました。巳之助さんのすっきりした、捨て鉢になっていてもどこか品のある若殿ぶりがすごくよくて、こういう品性って三津五郎さんをやっぱり思い出させるし、三津五郎さんご自身もたくさん新歌舞伎の上演などをおつとめになられていたけど、そのどれもが余人をもって代えがたい印象を残すお役ばっかりだったなあと懐かしくなったりして。

松緑さんの気の良さ100%、な佇まいもよくて、別れの場面の「病むんじゃねえぞ」のひとことにこれ…泣かずにいられる!?となった私です。

ふたりでどこか遠くで暮らす、という「使われなかった人生」を美しく思い描けば描くほど、切なく、胸に沁みる一幕でした。