マンダロリアン面白すぎて黙ってられなかった人のどうでもいい鑑賞メモ

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はじめに

一昨年のシーズン1配信(当時まだ日本はディズニーデラックス)の時から、ツイッターのTLで熱心なスターウォーズファンの方の熱い激賛を目にしていて、しかしこれ以上映像サブスク増やしてどうする(見る時間ない)、マーベルの新作ドラマをどのプラットフォームでやるかはっきりしたらどうせ加入するんだからその時まで待とう、つって見送ってたんです。もろもろ撮影延期とかコロナの打撃もありつつですがようやく2021年1月にワンダヴィジョン公開ですって!ということで1月1日にディズニープラスにめでたく加入、さっそくマンダロリアンを見始めたんですけど、これが、あーた、

どしゃめしゃに面白い。

この作品、スターウォーズマニアが諸手をあげて歓迎しているのは想像に難くないですが、旧三部作もプリクエルもうっすら「むかし見たなあ」みたいな、マニアというかファンですらないライト一般ピーポーが見ても、

俄然、面白い。

最初にシーズン1の3話まで見て、続き明日にしよ…つって翌日シーズン1最後まで見て、なんとその翌日にシーズン2を全話見ちゃった。1日で。止められなかった。そもそも1話の長さが30分~40分程度で短くて、1シーズン8話の構成だから、まあまあ4~5時間あれば見られる計算よ。計算よつっても、本当はもうちょっとゆっくり堪能するはずだったの。ワンダヴィジョンのリリースちょい前に見終わるぐらいなつもりで。なのにこんなことになるとは。まさに巻を措く能わずとはこのことかっていう。

そんでシーズン2のラストまで見ちゃって、次に何を始めたかっていうと最初から見返し始めたっつーんだから何をかいわんやである。

1話1話がシンプルだけどちゃんと緩急がついていて、各エピソードの配置が絶妙で、台詞がまたむちゃくちゃいいんですよ。で、スターウォーズやめられない勢の皆さんにはそれだけじゃなくてどんな場面でも過去作品への目くばせがあるという(でもそれを知らなくても十分面白い)。すげえなジョン・ファヴロー&デイブ・フィローニ。

メイキングも全部見ちゃって、その中で何度も「もともとスターウォーズは西部劇や侍映画にインスパイアされたもの、だから昔の作品をなぞるのではなくてその元ネタの方を参照した」という話をしているように、フォーマットは子連れ狼なんですよねこれ。完全に七人の侍を模してる回もあるし、酒場!賞金稼ぎ!っていう西部劇要素もあるし。ストーリーラインはすごくシンプル、無駄なく短い時間で見せたいものをしっかり見せきる。いやもう唸りますわ。

主役のマンダロリアン、マンドーさんは最終盤まで名前もわからないし、ヘルメットは取らないし、ちっちぇ~ヨーダと表情がまったく見えないヘルメットの男の道行きなんだけど、これが信じられないくらい情感豊かに感じられるんですわ。またマンドーさん、決してパーフェクトガイじゃないんですよね。そこがまたいい。ほんと、これを企画として通すプロデューサーもすごいし、それで見事な作品を作っちゃう製作陣もすごい。ちなみに各話の監督が分担制で、シーズン1ではタイカ・ワイティティとかも参加してるよ。

本当にいますっかり夢中なんだけど、しかし周りで見ているひとがほとんどいないし、これから観る人のこと考えたらツイッタで事細かくあれこれ書くのも興ざめになっちゃまずいし、ってことで、例によって「見た人にはわかるけど見てない人にはなんのことかサッパリわからない鑑賞メモ書き」を延々と1万字近く書いてしまったので、インターネットの大海の片隅にそっと流しておきます。

S1-1「マンダロリアン

2行あらすじ:賞金稼ぎギルドから裏の仕事を紹介されたマンドーさんがもろもろあってついにあの子と出会う、Can't take my eyes off of you回

  • 賞金稼ぎのマンドーさんのクールなお仕事ぶりが見られる
  • マンドーさんはドロイドがお嫌い
  • アルフォートああやって作るのか~
  • ここでターゲットを「生かして連れてこい、だけど最悪な場合殺しても可」と依頼者が伝えてるの、物語を進めるうえですごく大事
  • 完全に刀鍛冶やないか風情のキャラクターが出てくるの面白い。贋鉄斎かよ
  • 有無は言わせんおじさん
  • マンドーさんブラーグに苦戦してたりで結構かわいいな…(とこのあたりで絆され始める)
  • マンドーさんはドロイドがお嫌い(2回目)
  • 賞金稼ぎのIGユニットめちゃ仕事できそうなのにすぐ自爆したがるの草
  • 直前で「ドロイドにしちゃ悪くない」とか分かり合った風だったのにそこからのー!
  • ベイビーヨーダちゃんがもうファーストショットでこっちの心ガン掴みでつらい
S1-2「ザ-チャイルド」

2行あらすじ:ベビヨダちゃんことべべたんを連れてレイザークレストで帰ろうとしたらジャワに大分解されててマンドーさんおこ、部品を返してもらうのに大奮闘回

  • ベベたんの揺りかごは宙に浮くのだ…あれほしい…
  • 襲撃されたときにマンドーさんがベイビーをぽーんと突いて守るとこ萌えたわ
  • マンドーさんの傷癒す?フォース出る?と思わせておいて寸止め海峡。しかしマンドーさんのほっこりパパぶりが拝めて尊いのでいってこいだ
  • 鬼の居ぬ間に洗濯じゃないけど持ち主居ぬ間のジャワ、一匹狼だと船を守るのも大変なんだね…っていう地に足ついたトラブルだよね
  • 有無は言わせんおじさんふたたび!
  • 「まあ何人かバラしたからな」「マンダロリアンにとって武器は宗教と同じだ」かっくいー
  • 卵でブチあがるジャワの皆さん
  • マッドホーンにガチ苦戦するマンドーさんを応援する傍らべべたんに萌えるのにいそがしい。かわいいが!!!すぎるんじゃ!!!!!
  • あんなちっちゃいのに、パパを守るために力を出すべべたん愛しすぎんか。力出した後もうだめつってぱったり眠っちゃうとこも含め
  • 有無は言わせんおじさんは仕事できすぎおじさんでもあった
  • この2話の配置、個人的に唸りました。1話でターゲットとして出会い、本当なら次で3話の展開が来ておかしくないところを、この2話を差し挟む(しかも展開に無理がない)ことで3話での決断の重みが増すわけですよ…
S1-3「罪」

2行あらすじ:べべたん引き渡して大量の報酬ゲット、アーマー新調してピッカピカのマンダロリアンになったけれどあの子…どうなるんだろう…揺れる心体中で感じて回

  • 冒頭からべべたんの可愛すぎる爆弾炸裂しまくり。「おもちゃじゃない」
  • ネヴァロの街を歩きながらパパマンドーを見上げるべべたんのどことなく心細い顔…うううう…マンドーさん…
  • ベベたんを雑に扱うトルーパー絶許
  • 帝国の残党独特のいやらしさめっちゃ出てますよね。あんなやつに渡しちゃうのかよぉ
  • 本日の贋鉄斎タイム(ちがう)
  • ベスカーってMCUにおけるヴィブラニウム的な価値のある金属なのかな
  • 「次の仕事をくれ」って繰り返すマンドーさん、考えたくないんだねあの子のこと
  • ボール…ボール…!!!!!!
  • マンドーさんが「人として正しいことをする」分岐点の描き方が秀逸すぎんのよ
  • 揺りかご捨てられてるのショックだよね…
  • 狭い帝国アジト内でのマンドーさんの戦いぶりがバリエーション豊富でめちゃくちゃあがる
  • この酒場の賞金稼ぎたちのトラッキング-フォブが一斉に鳴りだすところ、「ジョン・ウィックじゃん!」って思った人手ぇ挙げ
  • 蒸発銃めっちゃこわい。リアクション動画でこれを「サノス銃」つっててそれなすぎた
  • この銃撃戦のさなかに親子(もう親子って言っちゃう)が見つめ合う美しさよ
  • 冒頭でいざこざのあったマンダロリアンが助けてくれる構図胸熱すぎ
  • ボールううううううう!!!!!!
S1-4「楽園」

2行あらすじ:安住の地を求めて逃避行するマンドーさんとべべたん。たどりついた辺境の地で地元のならず者たちと対峙する羽目になるこれ完全に七人の侍やん回

  • イザークレストの中で勝手に遊ぶベベたん。いたずらっ子をひざに抱えるマンドーさん尊すぎんか
  • ここで待ってろよと言われてもついてっちゃうベベたん…パパと一緒にいたいんだね…
  • このエピ、ベベたんの可愛いところこれでもかと盛ってくるので息も絶え絶え
  • キャラおねえさん登場~~!!強い~~~!!!
  • 人前でヘルメット取らないマンドーさん、でもそんな端近でメットオフしちゃって大丈夫なのとこっちが気を揉んじゃうわ
  • AT-STがいるのわかってからのキャラおねえさんとマンドーさん「無理」「無理」潔い
  • そしてここから七人の侍(又は荒野の七人)ムーブへ
  • 未亡人(ぽい)人といい感じになりそうなアレもお約束ムーブなんでしょうか
  • でもヘルメットがあるのでうかつなことに絶対ならない。安心仕様です(何が)
  • AT-ST一機でもこんなに苦戦するんだなあというこの地に足着いた感がイイ
  • ベベたんを置いていくなんてマンドーさん!ちょっと!マンドーさん!
  • なんか大人なふたりがいい雰囲気を醸しはするけどトラッキング-フォブがそうはさせないのであった
  • この村の人が薄いブルーをアクセントに使ってるのはあの海老のあれなのかな(どれ)
  • 監督ブライス・ダラス・ハワードやんけーーーッ
  • 1~3話でひとつのターム、この4話5話6話が単体として中核をなすエピで、最後2話で畳みかける構成ずっぱまってるよなあ
S1-5「ガンファイター」

2行あらすじ:べべたんのためなら稼がにゃならぬ、あっ!この風景!どっかで見た!な中で繰り広げられる賞金稼ぎの三つ巴、死ぬのは奴(ら)だ回

  • 「生きたまま行くか、冷たくなって行くか」「俺の台詞だ」きゃーーかっこいーーっていうかマジでまんま1話のマンドーさんの台詞ですけど賞金稼ぎ内で流行ってるんですか?
  • 空中戦でもにこにこのベベたん…キャワ…(もう語彙がとっくにしんだ)
  • モスアイズリーとか格納庫35とかこれぜったいガチファンへの目くばせでしょ、おれはくわしくないんだ
  • 修理屋のおばちゃんとドロイドの関係イイ
  • 留守中にベベたんを寝かしつけてくれてたのをみて一気に警戒心を解くマンドーさんよ…
  • 「ありがとう」って真正面に言われてとまどう修理屋もいいんだ
  • 出た!血の気の多い若者。あっさりマンドーさんに底を割られるの回
  • フェネック・シャンドのヘルメットかっこいいな
  • スピーダーバイク乗りたさ
  • ミン=ナ・ウェンさ~~~~~ん!!!!!!
  • シャンドにうまい話を持ち掛けられる若者。ああ…これでこいつも…と思いきやっていう
  • おまえ~~~!!名前なんだっけ!?覚えてないけど!べべたんを人質にとるとかおまえ~~~~!!!最悪だ~~~~!!!!
  • 最悪だったけどマジあっさりマンドーさんにやられるし「その辺に捨てておいで」言われるしあっという間に因果応報な件
S1-6「囚人」

2行あらすじ:全然気の合わない連中との仕事もべべたんのためならエンヤコラ、パパマンドーの知恵と力が炸裂する密室サスペンス回

  • 好きになれそうな人がひとりもいない座組での救出作戦
  • 救出作戦かと思いきや脱獄作戦だし
  • ドロイドも昆虫みたいだし。性格悪いし(作者談)
  • 「どんなツラしてんだろうな」男前だよーーびびるよーーー
  • こら!ちょっと!べべたんに触るな!!おい!!そこのお前!!!!
  • 見境なく銃をぶっぱなす脳筋、こういうやつだいっきらいです
  • ドロイドひとりで片付けるマンドーさん最高にかっこいいしそのマンドーさんを足蹴にするおまえらキライ
  • 残念押されちゃったねトラッキングビーコン。ざまあ!
  • 気の合わない仲間は気が合わないだけじゃなく姑息であった。くっそ!!!マンドーさんに何しやがる!!!
  • とおもったけど脱出ちょっぱやで笑う。仕事ができる男は違うね!
  • そしてマンドーさんの復讐がはじまる。このホラーみ!!!
  • ゴランソンの音楽がまたいいのよねえ
  • 光の点滅とともに近づくマンドーさんのかっこよさよ…
  • ベベたんフォース使おうとして「あり?」って自分の手を見る仕草プライスレス
  • 報酬もらってこれでさよなら…なわけないよねー!裏あるよねー!からのマンドーさん策士ぶり。ありがとうございます。40分間すこしの隙なく完全に面白いです
  • あの新共和国のパイロットが監督3人衆っていうの最高ですね。この時の裏話大好き
  • 最後のマンドーさんもちろんヘルメットなんだけどぜったい笑ってるよな~!って感じがする!そこがいい!!
S1-7「罪」

2行あらすじ:たとえ罠だとわかっていてもやらなきゃならない時がある。数少ないお友達総動員でかかる囮作戦の行方やいかに。鬼さんこちらで、さあ次号へ!回

  • すごい、こんなに罠だとわかる勧誘なかなかない
  • コクピットに放置するといたずらするべべたんキャワ
  • 「不細工すぎる」えっ有無を言わせんおじさんなんてった
  • IG-11の再教育譚がむちゃくちゃ丁寧なの沁みる
  • キャラおねえさんとクイルとブラーグとの一座できああがり~~~
  • 「なにがあってもあのドロイドを船から出すな」マンドーさんはドロイドがお嫌い。ここ試験に出ます
  • あんな溶岩の河が流れてて地表は熱くないんかな裸足の人いるけど
  • 「(護衛は)何人ぐらいいるんだ?」「いても4人だろう」ここも試験に出ます
  • えっあんなミニスマウグみたいなやつがいるんですかそれなのに野宿を?正気なので?
  • フォースすげえな…つかこんなすごい能力見せちゃって大丈夫なのか…べべたん…
  • 物語の起承転結の流れの美しさよ。それぞれの思惑がばれたところでここでひとつツイストがはいる
  • 「4人って言わなかった?」1回目
  • ベベたんのブルーのおくるみ、4話でもらったやつかなあ
  • 体制が変わっても末端の世界は荒れたままじゃんね、帝国の支配のほうが秩序だってよかったじゃんね、という帝国残党お得意の説教タイム
  • 「どこが4人よ」ハイきた2回目
  • そしてここでさらに物語がツイストする!これほんとに40分の尺なのか?
  • 「4人って言ったの誰!」出た3回目!キャラおねえさんおこだよ!
  • あああクイル~~~~!!!間に合って~~~~~!!!!
  • タイファイターってあんなふうに着陸すんだ…
  • 「お前が持っているものを渡せ。お前はそれがなんなのかわかっているつもりかもしれないがわかってない」この台詞も試験に出ます!!
  • あっ…ああああああっ……………!!!!!!!!!
  • いやこれこのままエピソード8再生しないでいられる人いる?いやいない!!!
S1-8「贖罪」

2行あらすじ:文字通りの絶体絶命、物語はライク-ア-ローリング-ストーン、行き着く先は天国か地獄か。明日に向かって撃つし俺たちに明日はあります回

  • このトルーパー同士の会話…クレジット見てないうちから「これ絶対タイカ・ワイティティ監督回でしょー!」と思った(そうだった)
  • 「見てもいいか?」「水やったら?」「動いてないぞ?」「見たいだけだろ!」面白すぎる
  • そしてこの組織の末端における連絡の行き届かなさぶりよね
  • クイルを殺してべべたんを殴る、お前ら…許さんきに!
  • IG-11~~~~!!!!うおお~~~~~~!!!!!
  • 「いやなものを見せてすまなかった」これで惚れないやついるでしょうか…むり…
  • マンドーさん、あなた、ディン・ジャリンっていうのね
  • 千の涙の夜とかそういうネーミングするやつにろくなやついない
  • 時間をやろうっていうのはここにベベたんがいると思っているからだよな。最善はベビーヨーダを生きたまま手に入れたい(力が欲しいから)。しかし最悪なのは敵方の手にわたることなので、そのリスクを思えば殺す選択肢もあるっていう
  • マンドーさんの筋金入りのドロイド嫌いの理由がここに
  • そしてあそこでべべたんを見捨てられなかった理由も…ここに…
  • 自分が手を差し伸べる側になりたかったんだね…
  • IG-11のすさまじい仕事ぶり!いっけーーーー!!!!!(ってべべたんがゆってます)(たぶん)
  • くるっと反転してべべたんを守るとこまじですこ
  • マンドーさんそんな、弱気にならないでえええええ
  • なんなのそのおめでたい彩色のトルーパーは…まじ…許さん…
  • 「やれ」「なにをだ」「さっさと殺せ」「私はナースドロイドだ」うううう…
  • 「ほかの生き物に素顔をさらすことは教義に反する行為だ」「私は生き物ではない」んもーーーー!!!このあたりの台詞ぜんぶがいい!!!!!
  • そしてペドロ・パスカルさんがむちゃくちゃペドロ・パスカルさんなんだけど(動揺)
  • バクタスプレーすごない?うちにも融通してくれ
  • えっ…マンダロリアンの…なぜ…そんな…っていうかこの短い時間でどんだけシンパシーとワンダーを放り込んでくるんだよ~~!!
  • 「そういう力を持つジェダイというものと…」ジェダイ~!
  • 贋鉄斎さん(としか呼べない、もう)、あなた何者なんですか…
  • ここでべべたんに対する使命を与えられたことがシーズン2の各エピへの動機付けになるわけやね。うますぎ侍
  • 装備がどんどん整っていくのほんとゲームっぽい!ゲームやんないけど!
  • そして贋鉄斎さんはむたくた強いのであった(いやマジで銃火器なしでこれ…)
  • 最後の死線を迎えるときのIG-11とマンドーさんの台詞、もう全部好き。すばらしい。このドロイドの無機質さがどんな感情より情を感じさせる。
  • 「悲しんじゃ…いない」のトーンがさ~~~~!!!!もうさ~~~~~!!!
  • マンドーさんはドロイドがお嫌い…だった…(涙滂沱)
  • モフギデオン!!!!おまえ!!!!名前にモフとかつけてんじゃねえ!!!!
  • 「魔法の手を使わせろ!」(手を振るべべたん)「…万策尽きたな」ことここにいたってもこのユーモア、推せる
  • マンドーさんが時限爆弾ぽいのを持ってるのもさっき「弾薬を補充して」って場面があるからその前の話と齟齬がない。うまいよねえ
  • パパマンドーの脚にすがりつくべべたんの可愛さに気ぃ失いそうになったわ、マンドーさんもそうでしょ?
  • このべべたんを抱えて飛ぶ構図がさ~、さっきのディン・ジャリンの子どもの頃と同じ構図なのがさ~~!!!もうさ~~~~!!!
  • そしてどっこい生きてる…そのセーバーなに~~!!!
おわりに

これを最後まで読んでいる方はもちろんマンダロリアンをすでに見ていると思いますが、万が一見ていない方はぜひ、ディズニープラス入るのめんどくさいし問題ありまくりだけど正直マンダロリアンだけで元取れます…なんなら初月無料を利用してもいい!でもこれだけは言えるんですけどこれね…シーズン2がね…さらに輪をかけて面白いんですわ…でね…シーズン2見たらね…もうやめられないんですわー!
さあ!みんなで見ようマンダロリアン!みんなで見ればこわくない!

「両国花錦闘士」

東京公演の感想を拝見するになかなか面白そうだぞ、作・演出が青木豪さんだしそんな変なことにはならなかろう、と思ってチケットを取りました。劇場も家から近いし!岡野玲子さんの原作は未読です。

力士だけどアンコ型相撲取りは「美しくない」と公言する昇龍と、典型的なアンコ型相撲取りである雪乃童のライバル関係を軸に、恋とか欲望とかも絡ませつつの角力道(ロード)が描かれるわけですが、いやーすがすがしかった。オープニングの主題歌やけにかっこいいな!?と思ってたらデーモン小暮さんご提供だった。そんでキャストが踊る踊る。もう、踊る踊るなんてもんじゃないくらい踊る。力士役は基本的に廻し一丁の姿で踊る。廻し風パンツではなくしっかり締め込んである廻しである。もう男の裸、ゲシュタルト崩壊

こうしてずーっと男のふんどし姿を見ていると、やっぱある程度肉付きが良い方が魅力的よね…と思うし、スレンダーな体形は逆に見ていてつらみがあるのが面白い。やっぱスーツも廻しも着こなすには胸板が必要なんだなとこの先役に立つかどうかわからない知見を得ました。

しっかり踊れるキャストを揃えていること、スタッフ陣に一流どころを揃えている(美術二村さん、照明原田保さん、振付は梅棒)こと、キャストにとにかく全力でこの舞台を高めていこうという気概があること、そういうものが板の上からオーラとなって立ちのぼってくるようでしたよ。

芝居の展開のなかで「あたしがあいつのこと好きなんて…!」要素は私の琴線にビタイチ触れないのでアレなんですが、昇龍が相撲というものに何を見ているか、がわかってくる2幕の展開はよかったし、なにより最後にセットの上に見事な土俵が現れ、昇龍の「夜も光るほどつややかになって、おまえらを眠れなくさせてやる」って台詞があまりにもよくて、グワーーっと最高潮に高まったところで幕、だったのがすごく気持ちよかったです。

主演の原嘉孝さん、よかった、よかったしなによりこの舞台の主演として本当に美しかった。うつくしい、ということ、うつくしさとは、という問いがこの作品の大きな背骨だから、それを体現する役として120%の仕事を果たしたと言えるんじゃないでしょうか。しんぺーさん伊達さん転球さんの小劇場チームがんばってた、がんばって踊ってた(笑)

相撲にまったく詳しくないけど、やっぱりどこか「ハレ」のものだと思うし、そういう意味では演劇との相性がいいんだろうなと思いました。この作品自体はいろいろと予期せぬ事態に見舞われて、加えてコロナの状況もあり客入りとしても厳しい状況になっているけれど、舞台の熱量は確かに届いたし、そういう意味では間違いなく「ハレ」の時間だった。カーテンコールのスタオベはそれらをまるっと讃える観客からのエールだったと思います。

「fff-フォルティッシッシモ-/シルクロード~盗賊と宝石~」宝塚雪組

  • 宝塚大劇場 2階1列87番
  • 作・演出 上田久美子/作・演出 生田大和

観劇仲間のご贔屓の退団公演ということで、その方の感想とかツイートとかを見ていると、そうかあ~一度舞台を拝見してみたいものだなあ~とか思ってたんですけど、もはや「一度拝見してみたい」みたいな心構えで取れるチケットじゃないっていう。駄菓子菓子!今回はぴあ貸切につるっとひっかかりまして、初の雪組観劇でございます。ポーのときに初日に来て以来の宝塚大劇場~!

以下ストーリーについてめちゃネタバレしています。あと今回退団されるトップスターの方以外、ほぼどなたの名前もわからない状態で観ておりますので、なにか失礼がございましたら遠慮なくビシバシ突っ込んでください。

fff、個人的にはゴリゴリのロマンスよりも、こうした話の方が俄然食いつけるタチなので、たいへん楽しく拝見しました。ベートーヴェンを主役に据え、そこに同時代に生きたナポレオンとゲーテを絡ませるという構図で、かつその絡ませ方が多分にイマジナリーを含んでいるので、野木萌葱さんがミュージカル書いたらこんなふうになるのかしら…みたいなことを考えました。冒頭でバッハはさっさと天国に行けたのに、モーツァルトハイドンが審判待ちなのはなんでじゃ!それはもともと神のものたる音楽をお前らが堕落させたからじゃ!お前らの後継者がその真価を問われるときにまとめて裁いたる!という前振りがあり、音楽を一部の限られた特権階級のものから民衆のものにしたいと考える革命思考のベートーヴェンの振る舞いをおそれた3偉人がベートーヴェンの耳を聞こえなくさせる、って展開もなかなか面白かったです。

しかし、最初に連れ立っていた女性は才能に惚れていても身分のハードルは越えてくれず、幼い頃に自分を助けてくれた想い人は自分に対して情はあっても愛のまなざしでは見つめてくれず、という、む、報われねえ~!感がすごかったです。誰よりも近くにいる黒衣の謎の女だけが彼の道連れってすごいな。膝を抱えて「結婚して子供をもってみたかった…」みたいなセリフ言っちゃうんだ…っていう。しかし黒衣の女の役回りはめちゃくちゃしどころのあるいい役でしたね。なんか、硬軟自在な感じもよかった。彼女を介してベートーヴェンが「聴く」ことができるのも劇作の処理としてうまい。

ベートーヴェンにとってナポレオンは解放の象徴(憧れ)であり、同時に世俗にまみれた堕落者でもあるわけですが、ベートーヴェンの夢の中でナポレオンと刹那の邂逅をする場面よかったなー。背後に音符とも陣形ともとれる意匠が動いて形作っていくのすばらしかった。出会わない2人がお互いを高い次元で理解するっていうのはどうしてこうも胸が躍るんでしょうか。そういえばナポレオンの戴冠のときの衣装がジャック=ルイ・ダヴィッドの「ナポレオンの戴冠式」まんまで、王冠もがっつり作ってるのがいやー手を抜かない!って感じで嬉しくなっちゃいましたね。

我々はベートーヴェン交響曲第9番に何を描くかということを知っているわけで、この「来るぞ…来るぞ…」と思いながらあの旋律を待つのも楽しかった。そういえば歓喜の歌はナポレオンがこの芝居の中で語った欧州連合の象徴でもありますね。

ベートーヴェンが主題なだけに、綺羅星のごときメロディーをふんだんに使えるという楽しさもあってよかったなー。主人公に対する「君ならこの旋律が歌えるはずだーーッ」的な難曲ピッチングマシンと化した楽曲の数々もすごかったです。そしてその期待に軽々応える望海さんよ…!ええもん聞かせてもらいました。寿命が伸びました。最後の曲がなんかもう、これがサヨナラ公演だというのを魂になって叩きつけるようなメロディと歌詞でぐっときたなー。あと真彩さんの声めっちゃ好き。歌って良し喋って良しで登場が待ち遠しかったです。

レビューのシルクロード、最初いろいろ目まぐるしくてトップスターさえ見失う体たらくで本当申し訳ない。しかしなぜか鎖に繋がれて出てきた瞬間「あーーキターー」ってわかったのなんでなんだろう。しかもその鎖を小道具にして踊るやつって全おたくが大好きなやつじゃないですか。

あとなんといってもチャイナ風の衣装で踊ったところが最高すぎた!!拙者派手なスーツの群舞大好き侍と申す!振りもいいし流し目(見えてないけど心の目で見た)もいいし、最後に男2人女1人のタンゴになって、男女、男男、女男の組み合わせになるのもうこれ永遠にやってもらっていいやつです…ってなったね。

2021年の観劇初め、寿命も伸ばしてもらったことですし、素晴らしいスタートになりました。どうか最後まで無事公演が行われますよう、心からお祈り申し上げます。

2020年のベスト

2020年皆さまお疲れさまでした!実家に帰らずテレビをザッピングしながらこれを書いております(打っております)。もろもろまとめて2020年ふり返ってみまっしょい!

2020年の演劇

劇場での総観劇本数26本。リピートした作品は無し。昨年が48本でしたので、だいたい半分くらい。ちなみに、すでにチケットを買っていて中止・払戻しになった公演が17本ありました。
例年ベスト5とか、特に本数にこだわらず「特によかった」ものを振り返りでピックアップしていましたが、今年は本数も少ないしということでこの2本になりました。

「いきしたい」五反田団
十二月大歌舞伎第三部「傾城反魂香」

「いきしたい」はツイッターでフォローさせて頂いているtroookieさんのこのツイートに刺激されて、歌舞伎座遠征に抱き合わせました。


上演時間1時間、コロナ禍の真っただ中の9月でした。上演前に主宰の前説があり、感染症対策について丁寧な説明がありました。舞台ツラから客席までの距離、換気の仕組み、戯曲を購入した場合のお釣りの渡し方まで、コロナ禍以降に足を運んだ観劇作品で、これほど不安を感じずに見られた芝居はなかったかもしれません。
コロナとは関係のない個人的な出来事を書く、という言葉通り、きわめてパーソナルで、だからこそ普遍的な物語でした。今年、誰もが多かれ少なかれうっすらとした絶望を味わったと思いますが、その絶望の貌を覗かせるような、それでいて、そこから脱け出すための灯りを見るような、本当に素晴らしい一本でした。ぜひ、今度は満席のアゴラ劇場で再演していただきたいと願っています。

十二月大歌舞伎の傾城反魂香は、演目自体はわりと何度も拝見しているもので、だからこそ演者によって味わいが違ってくるものですが、今回は2008年の浅草歌舞伎で拝見した時と同じ勘九郎さんと猿之助さんの顔合わせでした。もしかしたら、このコロナ禍がなければ実現しなかった舞台なのかもしれません。おふたりの充実度が伝わるような、ぎゅっと詰まった充実感のある舞台でした。決められた型通りに演じながらそれでも溢れてくる何かが、劇場を埋め尽くすあの瞬間を味わうことができて、劇場に来てよかったと心から思えました。

2020年の演劇番外編

ありとあらゆる劇場公演が中止になり、配信やリモート演劇が盛んになりましたが、これも今のところビジネスモデルとして安定供給に至るにはまだ途上、という感じもあります。なかなか劇場に足を運べない層からの歓迎姿勢がある一方、劇場に行ける、行けないにかかわらず配信にはなかなか食指が動かないという声もありました。自分自身でも、配信で見た作品(有料のもの)は非常に限られていたので、やはり自分が劇場で求めている体験と、配信で得られる体験には乖離があるというところなのかなと思います。
その中でも2020年でどうしても忘れられない「リモート演劇」はやはり、緊急事態宣言下で行われた「12人の優しい日本人」でした。
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東京サンシャインボーイズのメンバーがほぼ全員打ち揃い、かつての劇団の代表作をリモートで演じる。戯曲がzoomでの読み合わせスタイルでもじゅうぶんに成立する構成であり、かつまぎれもない傑作であること、この戯曲を知り尽くした役者陣がそれを演じること、ちゃんと若手の演出の目を入れた作品にしていること、どれをとっても素晴らしいの一語に尽きますし、あの先がまったく見えなかった5月に、この作品に心が動いた、動かされたことは他では代えがたい経験でした。あのメンバーが揃って「12人の優しい日本人」を舞台で演じることはほとんどあり得ないと言ってよく、そういう意味でも「この時だからこそ」の体験でした。

2020年の映画

映画館での総鑑賞本数20本。一時期、映画と観劇の本数がぴったり並んでいたこともありましたが、最終的にこの本数に。楽しみにしていた新作がことごとく延期になった年でしたね。そうこうしているうちにハリウッドでは配信と劇場同時リリースなんてビジネスモデルもスタートして、映画産業界も大揺れ、この先どうなるんでしょうか。本当にまったく読めません。現場主義としては、2021年、無事にあれもこれも上映がかなうことを祈るしかできませんが。
さて、演劇に続き映画も劇場で見た作品から特によかった2本を選びました。

ジョジョ・ラビット
シカゴ7裁判

今年はもう、ジョジョ・ラビットの年でした。鑑賞した時点でもちろん最高に心震えましたが、それ以上にその後のありとあらゆる場面で、この映画のラストシーンを思い出しましたし、2020年のベストフレーズを選ぶとすれば、「踊るの。踊るって、自由な人がすることだから」に尽きるような気がしています。あのリルケの詩を思い返したのも一度や二度ではなかったです。まるでここから始まる1年を象徴するような詩でしたね、今思えば。「すべてを経験せよ 美も恐怖も 生き続けよ 絶望が最後ではない」。

シカゴ7裁判はNetflix配給ですが、もともとパラマウントが劇場用に製作していて、もっといえばこの企画自体はかなり昔から動いていたもので、その配給が2020年になり、コロナによってパラマウントNetflixに売却し…と紆余曲折ありすぎましたね。私はもう、マイフェイバリット脚本家であるところのアーロン・ソーキン脚本というだけで尻尾を振るオタクですから、1週間の限定劇場公開期間中にいそいそと足を運びました。ソーキン節をこれでもか!と堪能出来たこと、大統領選のこの年に公開されたこと、あのラストシーン。劇場で見られてよかったです。

2020年の本

今年は例年に比べて本をたくさん読みました。っていうか今まで読まなさすぎた!昔と比べるとその読書量の貧しさにうなだれるしかありませんが、「どこにも出かけられない」となったときに私が選んだエンタメが音楽でもなく映像でもなく読書だったのが三つ子の魂なんとやらという気もします。通勤途中に大きな図書館があるので、ばんばん借りまくりましたし、予約が多くて借りれないとなったらばんばん買いました。場所とるから…なんてことはこの際気にしないことを自分にゆるしました。しかし、本はね、記録を残してないんです。読んだ端からどんどん忘れる(忘れるんかい)。とはいえ、これだけは!という1冊をあげるとするとこれです。

フィフティ・ピープル となりの国のものがたり

これ、ブログにも勢い余って書きましたね。だから今更何を言うこともないんですけど、本当に素晴らしい一冊でしたし、この勢いで韓国文学作品を定期的に読むようになった(し、どれも面白い!)のも自分の視界を開かせてくれたなー感があります。刊行自体はもっと前なので、今年の本というわけではないんですけど、私が出会ったのが今年なので今年でいいんです。よかったらぜひ読んでみてください。本当に最高の一冊です。

2020年はいろんなことがありすぎましたが、たぶん自分という個よりも世界が揺れた年で、その世界の揺れが与える影響が本当に人によって千差万別なんだということを実感もしました。個と世界と、どっちもバランスが保たれてはじめていろんなものを、特にエンタメを味わえるのだなということを改めて考えさせられた1年でした。

毎年この振り返りエントリはほぼ同じ言葉で〆ていますが、今年ほど実感をもってそう祈る年はないかもしれません。
来年も劇場で、たくさんの良き芝居と出会いたいです!

「ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!」

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ビルとテッドの大冒険ビルとテッドの地獄旅行も見てないんですけど、なんかこうパーっとしたものを摂取したくなって、上映時間も91分とコンパクトだしというのでふらっと見に行ってきました。監督はディーン・パリソット。

かつて一世を風靡したバンドが売れなくなってもろもろ方向転換して、いったい今やってることはなんなんだ…?と自問自答するところまではまあ割とよくある話なんですが、そこからぐいっと話が飛んで宇宙から使者がやってきて、世界を一つにする楽曲を77分後までに作らないと時空が歪んで人類が滅亡する…!っていう、大らかすぎる展開。

しかしこのビルとテッドのふたりがですね、まったく湿ったところがなくお互いが大好き、それと全く同じテンションで奥さんと娘が大好き、奥さん同士と娘同士も大好き同士で、基本的にそこが揺らぐシーンがない。未来を見に行って不吉な予言されて慌てるところはあっても、ビルとテッドの「絵にかいたような善良さ」は一貫してるわけです。そこを揺らがせた方がドラマは起きやすいんだろうけど、そういうのはこの映画、求めてないんで!という感じですがすがしい。

ローガン/プレストンのふたりが世界をひとつにする楽曲を作る、という映画の中で与えられた課題の意味がわかるところ、予想はついてもその描き方がまさに「今」だし、ちゃんとアップデートされた映画だなー!と思いました。

しかし、いちばん感動したのはエンドロールかもしれない。世界中のいろんなひとが楽器を手にして歌う、踊る。シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラエル・システマじゃないけど、歌うことや踊ることが人にもたらすものをむちゃくちゃ衒いなく現しているようでぐっときた。「ジョジョ・ラビット」の台詞を思い出した。踊るって、自由な人がすることだから。

柄にもなく、あんなふうにみんなが「自由に」踊れる日が一日でも早くきますようにと祈るような気持ちになりました。

「ワンダーウーマン1984」

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大ヒットした前作に引き続き監督はパティ・ジェンキンス、主演はもちろんガル・ガドット!もともとは夏映画として公開予定でしたが、公開が延びに延び、最終的にはアメリカでは劇場公開と同時に配信スタートとなりました。劇場公開の道を残してくれただけでも御の字ととるべきか、難しいところですな。

タイトルの通り舞台は1984年で、ダイアナはスミソニアン博物館で仕事しながらワシントンで暮らしている(住んでたのがどう見てもウォーターゲートビル!)。強盗の被害に遭った宝石店が盗品を扱っているおそれがあるとしてFBIから博物館に鑑定の依頼が来るが、その中に不思議な石の遺物があり、そこには「一つだけ願いを叶える」と書かれていた。

製作の早い段階でクリス・パインが再び登場することが告げられていて、どうやって?スティーブ・トレバーとして?それともドッペルゲンガー的な?と思っていましたが、こうきたかー!となりました。あの再会の場面、「僕は今日を救う、君は世界を救え」ってあの最高の台詞をいま言っちゃうのお!?とも思いましたが(合言葉みたいに片方ずつ言ってもよかったのにー)、まさかの「中身はあの人」方式とは。とはいえ、ダイアナとスティーブのふたりにはなんつーかこう、ちゃんとケミストリーがあって、ふたりが並んでいるシーンを見ているだけで心躍るものがある。デートの定番お着替えセレクション、今回はクリパさんがほんなこつめんこかったね。

しかし、全体としては大味だなあという印象の方が強く残ったかも。願いを叶えるというアイテムそのものがまあ大味と言えばそうなんだけど、願いを叶えるためのタスクというか、リスクが明確じゃないうえに、その願いの取り消しにもなんの縛りもかけていない(石を手にしたうえで唱えなければならない、とか)ので、雑に手あたり次第願いを叶え、雑にキャンセルを受けつけるという展開になってしまった。

これは邪推の域とは思うけれど、この「石」が産むドラマは、かつて愛した人の心(スティーブがそっくりそのまま出てくるのではなく中身だけ甦ったのは、ダイアナがスティーブの心の復活を願ったからなのかな)を望む、それ以外のものはすべてを手にしているダイアナとスティーブのロマンスと別れにのみ最高に効力を発揮していて、このふたりの別れの在り様を書きたいがための装置、という感じがしてしまったなー。いや、そんなこと言いつつもほろっときたけどね!ダイアナとスティーブ大好きだからさ!

ペドロ・パスカルはめっちゃよかった、最高にイッちゃっててどんな末路をたどるのかと思ったけど真の願いを叶えて終わったのでそういう意味ではクリスマスっぺー話でもあるなと思った。クリステン・ウィグは最初のドジっ子ぶりから一皮ずつめくれるようにあか抜けていくさまが見事。アクション勝負はもっとがっつり見たかったな~、場面が暗いとどうしても物足りなさが残る。あとゴールドアーマー、あんな鳴り物入りで登場したのに「え!終わり!?」感が否めず。最後のマックスとの対決で「みんなに語りかけてる」つって言葉で人の善性を呼び覚ます場面も、しかしそれだけのパンチのある「言葉」ではないように感じて個人的にはノれなかったところでした。

「迷子の時間-語る室2020-」

亀梨くんが出るってことはチケット取るのも難しそうだし時期的にも難しいかもだしうーんうーんと悩んでいるうちに当然のごとくチケット入手のチャンスを逃し、まあしょうがないなーと思っていたら、東京公演中に「大阪公演の見切れ席販売」の案内があって、まあどれぐらい見切れかわかんないけど申し込んでみっか!どうせ当たらない!と思ったらこれが当たってしかも1階の3列目(の端っこ)だった。おいおいここで3列目が出るってことは相当見切れなんじゃないの…舞台の奥半分ぐらい見えないとか…?と戦々恐々としながら劇場に向かったら普通にぜんぜん見切れてなかった。むちゃくちゃいい席で拝見することができて(つーかブリーゼ何度も来てるけどこんな前方に座ったの初めてよ)ありがたさしかない。

本当に自分でもどうかと思うんですけど、始まって10分?20分?ぐらいで「…これ、知ってる話だな?」ってそこで初めて気がついたのマジでひどい。そうだよね!語る室2020だもんね!迷子の時間のタイトルのほうに引っ張られてたね!5年前に見たイキウメの「語る室」も覚えてるところとそうでないところがあるけど、後半につれ「そうそうこういう話だった…」と記憶が甦ってきたような感じだったな。

この「語る室」がお話としてちょっと異質というか、前川さんならではだなと思うところは、居心地のいい大団円をまったく用意しないところ。あの母親は自分が乗せたヒッチハイクの若者が時間を遡行した自分の子どもであると知ることはないし、父親の免許証を手にした彼が元の世界に戻れる保証もない。弟を待ち続けた兄はその弟がすでにこの世におらず、目の前にいる若者がその弟に育てられたことを知らない。物語の冒頭で示された状態から、彼らは何一つわかりやすい解決を手に入れていない。

にもかかわらず、見終わった後にはどこか明るさが残る。初演の時には、特にあの母親の苦しみに引っ張られた記憶が強く残ってるんだけど、今回観てこれは受容の物語なんだなと思った。物事を解決する、あるべき場所に戻すのではなく、受け入れるための物語。

亀梨くん、こんなカッコいい人がこんな田舎の交番にいたらそりゃもう町は大騒ぎになるのではというメタなことを考えなかったといえばうそになりますが、あまり派手さのない役柄を恬淡とした佇まいで演じていてよかった。忍成さんと演技の相性が合っている感じがあったなあ。貫地谷さん、この中ではいちばんウェットな役柄で、芝居もわりと入り込み型なので、イキウメの世界をぐっとリアリティのあるものにしていて際立ってました。浅利くんも相変わらずうまい。前川さんのホンのテイストにすごく合ってますよね彼。

東京公演・大阪公演と無事完走、本当によかった。もうこればっかりは運だなとも思いつつ、しかし運の良さを引き当てるには毎日の積み重ねしかないわけで、演者・スタッフの皆さまになによりおつかれさまでしたと言いたいです。